小建中湯(ショウケンチュウトウ)について
小建中湯は、日本の漢方医学である和剤局方(わざいきょくほう)に収載されている代表的な漢方薬の一つです。体力虚弱で、疲労しやすく、腹痛、動悸、寝汗などの症状がある人に用いられます。身体を温め、機能を回復させる作用があるとされ、幅広い年齢層で使用されています。
主成分
小建中湯は、以下の6種類の生薬から構成されています。
- 桂皮(ケイヒ): シナモンの樹皮で、体を温め、血行を促進する作用があります。また、胃腸の機能を整える効果も期待されます。
- 芍薬(シャクヤク): ボタン科の植物の根で、鎮痛、鎮痙作用があり、筋肉の緊張を和らげ、腹痛やこむらがえりなどに用いられます。
- 甘草(カンゾウ): マメ科の植物の根や根茎で、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。また、他の生薬の作用を調和させる役割も担います。
- 大棗(タイソウ): ナツメの果実で、滋養強壮作用があり、体力を補い、精神安定作用も期待されます。
- 生姜(ショウキョウ): ショウガの根茎で、体を温め、消化機能を高める作用があります。また、吐き気を抑える効果もあります。
- 膠飴(コウイ): 米や麦などのデンプンを糖化したもので、甘味があり、胃腸を潤し、体力を補う作用があります。
これらの生薬が、それぞれの薬理作用を発揮し、複合的に効果をもたらすと考えられています。
分類
- 漢方製剤
- 温裏薬(体を温める作用のある薬)
- 補虚薬(体力を補う作用のある薬)
効能・効果
体力虚弱で、疲労しやすく、腹痛、動悸、寝汗、手足のほてり、頻尿などを伴うものの次の諸症:
- 小児虚弱体質
- 疲労倦怠
- 慢性胃腸炎
- 腹痛
- 神経質
- 夜尿症
解説:
- 体力虚弱で、疲労しやすく: 全体的に体力がなく、疲れやすい状態を指します。
- 腹痛: 慢性的または периодический な腹痛に用いられます。
- 動悸: 心臓がドキドキする感じがする症状です。
- 寝汗: 寝ている間に大量の汗をかく症状です。
- 手足のほてり: 手足が熱く感じる症状です。
- 頻尿: 排尿回数が多い状態です。
- 小児虚弱体質: 体が弱く、風邪をひきやすいなど、虚弱な体質の子供に用いられます。
- 慢性胃腸炎: 胃腸の機能が慢性的に低下している状態に用いられます。
- 神経質: 精神的に不安定で、イライラしやすいなどの神経質な傾向がある場合に用いられます。
- 夜尿症: 夜間に無意識に排尿してしまう症状です。
小建中湯は、これらの症状に対して、体を温め、胃腸の働きを整え、体力を補うことで改善効果を発揮すると考えられています。
用法・用量
通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 小児に投与する場合には、年齢に応じて用量を減らす必要があります。
- 例(一般的な目安):
- 成人(15歳以上):1回2.5g
- 7歳~14歳:成人の2/3量
- 4歳~6歳:成人の1/2量
- 2歳~3歳:成人の1/3量
- 2歳未満:医師、薬剤師または登録販売者の指示に従ってください。
服用方法:
- 顆粒剤や細粒剤の場合は、そのまま水または白湯で服用します。
- 煎じ薬の場合は、指示された方法で煎じて服用します。
必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。自己判断で増減したり、服用を中止したりしないでください。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によってはまれに副作用が現れることがあります。
主な副作用として、以下のものが報告されています。
- 過敏症: 発疹、かゆみなどが現れることがあります。このような症状が現れた場合には、直ちに服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢などが現れることがあります。これらの症状が持続または悪化する場合には、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
重大な副作用(頻度はまれですが、注意が必要です):
- 偽アルドステロン症: 長期間にわたって甘草を大量に服用した場合に、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫(むくみ)、手足のしびれ、筋肉痛などが現れることがあります。定期的な検査を行い、異常が認められた場合には、服用を中止し、医師に相談してください。
- ミオパチー: 低カリウム血症の結果として、筋肉痛、脱力感などが現れることがあります。異常が認められた場合には、服用を中止し、医師に相談してください。
- 肝機能障害: まれに、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの肝機能検査値の上昇が現れることがあります。
上記以外にも、予期しない症状が現れることがあります。服用後に体調の変化を感じた場合は、速やかに医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
その他
- 小建中湯は、体力中等度以下で、比較的体力がなく、疲れやすい人に適しています。
- 他の漢方薬や西洋薬と併用する場合には、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 小児に投与する場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
- 誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。
- 1包を分割した残りを服用する場合には、袋の口を二重に折り返して保管し、2日以内に服用してください。
- 使用期限を過ぎた製品は服用しないでください。
注意事項
この情報は小建中湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されるものです。**必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。**自己判断での使用は避け、専門家にご相談ください。
より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。