三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)について
三物黄芩湯は、比較的体力が充実した人で、のぼせやほてりがあり、便秘傾向のある方の痔核(じかく)、きれ痔、便秘、高血圧に伴う症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭痛)、出血傾向などに用いられる漢方薬です。3つの生薬(地黄、芒硝、黄ごん)から構成されています。
主成分
三物黄芩湯は、以下の3つの生薬から構成されています。
- 地黄(ジオウ): アカヤジオウの根を乾燥させたもので、補血(血液を補う)、滋陰(体の潤いを補う)、清熱(体の熱を冷ます)などの作用があります。
- 芒硝(ボウショウ): 天然の硫酸ナトリウムを主成分とする鉱物で、瀉下(便を下す)、潤燥(乾燥を潤す)、清熱解毒(熱を冷まし解毒する)などの作用があります。
- 黄ごん(オウゴン): コガネバナの根を乾燥させたもので、清熱燥湿(熱を冷まし、余分な水分を取り除く)、瀉火解毒(炎症を鎮め解毒する)、止血(出血を止める)などの作用があります。
分類
- 漢方薬
効能・効果
比較的体力があり、のぼせ、ほてり、便秘の傾向のあるものの次の諸症
- 痔核、きれ痔
- 便秘
- 高血圧に伴う症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭痛)
- 出血傾向
用法・用量
- 煎じ薬の場合: 通常、下記の1日量を2~3回に分けて食前または食間に経口服用します。
- 地黄: 5.0g
- 芒硝: 2.0~3.0g
- 黄ごん: 2.0~3.0g
- 水約400mLをもって、半量になるまで煎じ、滓を取り去り、温めて服用します。
- 医療用漢方製剤(エキス顆粒、錠剤など)の場合: 通常、成人には1日7.5g(または製品により定められた量)を2~3回に分けて食前または食間に経口服用します。
- 用量は年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 医療用漢方製剤には、上記生薬の抽出エキスが配合されています。製品によって配合量が異なる場合がありますので、添付文書をよく確認してください。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器系: 比較的多く見られる副作用として、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などが報告されています。特に芒硝が含まれているため、人によっては便がゆるくなることがあります。
- 皮膚: 発疹、発赤、かゆみなどが現れることがあります。
- 肝機能障害: まれに、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTPなどの肝機能検査値の上昇が報告されています。
- その他: 頭痛、めまい、動悸などが現れることがあります。
重大な副作用
- 偽アルドステロン症: まれに、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの偽アルドステロン症が現れることがあります。長期連用により現れやすいため、注意が必要です。異常が認められた場合には、服用を中止し、医師の診察を受けてください。
- ミオパチー: まれに、低カリウム血症の結果として、脱力感、筋力低下、筋肉痛などが現れることがあります。異常が認められた場合には、服用を中止し、医師の診察を受けてください。
- 腸間膜静脈硬化症: 長期服用により、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などが繰り返し現れることがあります。異常が認められた場合には、服用を中止し、医師の診察を受けてください。
その他
- 服用前に医師または薬剤師に相談すべき人:
- 体の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人
- 高齢者
- 著しく体力の衰えている人
- 食欲不振、悪心、嘔吐のある人
- 現在、他の医薬品(特に利尿剤、緩下剤)を服用している人
- 妊娠または授乳中の女性、あるいは妊娠している可能性のある女性
- 薬や食品に対してアレルギー症状を起こしたことがある人
- 医師の治療を受けている人
- 服用に際して注意すべきこと:
- 定められた用法・用量を守って服用してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
- 他の容器に入れ替えないでください(誤用の原因になったり、品質が変わることがあります)。
- 生薬を使用しているため、色やにおいが多少異なることがありますが、効果には変わりありません。
- 煎じ薬は、煎じ方によって有効成分の抽出量が変わることがありますので、指示された方法で煎じてください。
- 医療用漢方製剤は、吸湿しやすいものがありますので、開封後はなるべく早く服用してください。
- 漫然と長期にわたって服用することは避けてください。
- 服用後、体調が悪化した場合: 直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
- 他の医薬品との併用: 医師、薬剤師に相談してください。特に、利尿作用や瀉下作用のある薬剤との併用には注意が必要です。
注意事項
この情報は三物黄芩湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。