排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)について
排膿散及湯は、比較的体力のある方の化膿性疾患、特に皮膚や皮下の炎症、歯肉炎、扁桃炎などに用いられる漢方薬です。炎症を鎮め、膿を排出しやすくする効果があるとされています。
主成分
排膿散及湯は、以下の9種類の生薬から構成されています。
- キキョウ(桔梗): 膿を排出しやすくする、炎症を鎮める作用があるとされます。
- キジツ(枳実): 消化機能を整え、停滞したものを排出するのを助けるとされます。
- シャクヤク(芍薬): 炎症を鎮め、痛みを和らげる作用があるとされます。
- タイソウ(大棗): 緩和作用があり、他の生薬の作用を調和させるとされます。
- カンゾウ(甘草): 炎症を鎮め、痛みを和らげる作用があり、他の生薬の作用を調和させるとされます。
- セッコウ(石膏): 体の熱を冷まし、炎症を鎮める作用があるとされます。
- ボタンピ(牡丹皮): 炎症を鎮め、血行を改善する作用があるとされます。
- マオウ(麻黄): 発汗を促し、体の表面の邪気を取り除く、気管支を広げる作用があるとされます。
- ショウキョウ(生姜): 体を温め、消化機能を助ける作用があるとされます。
これらの生薬が配合されることで、排膿、鎮痛、解熱、抗炎症などの効果を発揮すると考えられています。
分類
- 漢方製剤
- 排膿・解熱鎮痛薬
効能・効果
比較的体力のあるものの次の諸症:
- 化膿性皮膚疾患の初期又は軽いもの
- 歯肉炎
- 扁桃炎
- 中耳炎
具体的には、皮膚の腫れや痛み、膿を持つような炎症、歯茎の腫れや痛み、喉の痛みや腫れ、耳の痛みや膿などに用いられます。比較的体力がある方の、初期の化膿性疾患に対して効果が期待できます。
用法・用量
- 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
漢方薬は、煎じ薬、顆粒剤、細粒剤、錠剤などの剤形があります。排膿散及湯もこれらの剤形が存在しますので、指示された剤形、用法・用量を守って服用してください。顆粒剤や細粒剤の場合は、そのまま水または白湯で服用するのが一般的です。煎じ薬の場合は、指示された方法で煎じて服用します。
副作用
漢方薬も医薬品であるため、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢など
- 皮膚症状: 発疹、かゆみなど
- その他: 動悸、のぼせ、発汗過多など
排膿散及湯に含まれるマオウには、交感神経刺激作用があるため、動悸、不眠、発汗過多などが現れることがあります。また、カンゾウを長期に大量に服用すると、偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、低カリウム血症など)が現れることがあります。
重大な副作用としては、現在のところ添付文書等で特筆されていませんが、上記のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 体力: 比較的体力のある人に用いられます。体力が虚弱な人、高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳婦、胃腸の弱い人、食欲不振、悪心、嘔吐のある人などは、慎重な投与が必要です。
- 相互作用: 他の医薬品との相互作用については、医師または薬剤師に相談してください。特に、マオウを含む製剤や、カンゾウを含む製剤との併用には注意が必要です。
- 長期服用: 症状が改善しない場合や、長期にわたって服用する場合は、医師または薬剤師に相談してください。
- 保管: 直射日光を避け、湿気の少ない涼しい場所に保管してください。小児の手の届かない所に保管してください。
注意事項
この情報は排膿散及湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されるものです。
必ず医師または薬剤師の診断を受け、指示に従って服用してください。
自己判断での服用や、用法・用量を守らない服用は、効果が得られないだけでなく、副作用のリスクを高める可能性があります。
より詳しい情報が必要な場合は、医療機関を受診するか、医師または薬剤師にご相談ください。また、製品の添付文書をよくお読みください。