茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)について
茵蔯蒿湯は、漢方薬の一種であり、黄疸(おうだん)を伴う様々な症状の改善に用いられます。茵蔯蒿(インチンコウ)、山梔子(サンシシ)、大黄(ダイオウ)の3つの生薬から構成されています。
主成分
茵蔯蒿湯は、以下の3つの生薬を一定の割合で配合して作られています。
- 茵蔯蒿(インチンコウ): キク科のカワラヨモギまたはオオカワラヨモギの地上部を乾燥させたものです。苦味があり、利胆作用、解熱作用、利尿作用、抗菌作用などがあるとされています。黄疸の改善に重要な役割を果たします。
- 山梔子(サンシシ): アカネ科のクチナシの果実を乾燥させたものです。苦味があり、解熱作用、消炎作用、利胆作用、瀉下作用などがあるとされています。黄疸に伴う炎症やかゆみを和らげる効果が期待されます。
- 大黄(ダイオウ): タデ科のダイオウ属植物の根または根茎を乾燥させたものです。アントラキノン誘導体を含み、強い瀉下作用があります。黄疸の原因となる胆汁の流れを促し、体内の老廃物や熱を排出するのを助けます。
分類
- 漢方薬
- 黄疸治療薬
効能・効果
茵蔯蒿は、比較的体力があり、みぞおちがつかえる感じがあり、便秘しがちなものの、次の諸症に用いられます。
- 黄疸
- 胆のう炎
- 胆石
- 肝炎
茵蔯蒿湯は、特に皮膚や白目が黄色くなる黄疸の症状に対して効果を発揮するとされています。これは、茵蔯蒿の利胆作用によって胆汁の排泄を促し、ビリルビンという黄疸の原因物質を体外へ排出するのを助けるためと考えられています。また、山梔子の消炎作用や大黄の瀉下作用も、黄疸に伴う炎症や不快な症状を和らげるのに役立ちます。胆のう炎や胆石による黄疸、肝炎に伴う黄疸など、様々な原因による黄疸に対して用いられます。
用法・用量
茵蔯蒿湯は、通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 煎じ薬: 生薬を পরিমাণの水で煎じ、濾して温服します。煎じ方や水の量は、医療機関や製品によって指示が異なる場合があります。
- エキス顆粒・細粒: 医療用医薬品や一般用医薬品として販売されており、通常、そのまま水またはぬるま湯で服用します。製品によって用法・用量が異なる場合がありますので、添付文書をよく読んでから服用してください。
年齢、体重、症状により適宜増減されます。必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。自己判断で増量したり、服用を中止したりしないでください。
副作用
茵蔯蒿湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。
- 消化器症状: 軟便、下痢、腹痛、胃部不快感、食欲不振などが現れることがあります。特に、大黄の瀉下作用により、便がゆるくなることがあります。
- 過敏症: 発疹、かゆみなどが現れることがあります。
まれに、肝機能障害が現れることがあります。AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPなどの肝機能関連の数値に異常が見られた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
茵蔯蒿湯に含まれる大黄には、子宮収縮作用がある可能性があるため、妊娠中の女性は服用前に必ず医師に相談してください。また、授乳中の女性は服用を避けることが望ましいとされています。
高齢者や体の虚弱な人、胃腸が弱い人は、副作用が現れやすい可能性があるため、慎重に服用する必要があります。
茵蔯蒿湯と他の医薬品や漢方薬を併用する場合には、薬物相互作用のリスクがあるため、必ず医師または薬剤師に相談してください。特に、他の瀉下薬との併用は、下痢などの症状を悪化させる可能性があります。
茵蔯蒿湯を服用していて、これまでになかった症状が現れたり、症状が悪化したりした場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
茵蔯蒿湯は、黄疸の根本的な原因を治療するものではなく、症状の緩和を目的として用いられることが多いです。黄疸の原因疾患に対する治療は、別途行う必要があります。
漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されることが重要です。茵蔯蒿湯が自分の体質や症状に合っているかどうかは、医師や漢方専門の薬剤師に相談して判断してもらうようにしましょう。
茵蔯蒿湯は、医療用医薬品として医師の処方箋が必要な場合と、一般用医薬品として薬局やドラッグストアで購入できる場合があります。購入する際には、薬剤師または登録販売者に相談し、用法・用量、副作用、注意点などをよく確認してください。
茵蔯蒿湯の保管方法については、直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管し、小児の手の届かないところに保管してください。誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。
注意事項
この情報は茵蔯蒿湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。