大柴胡湯について
大柴胡湯(だいさいことう)は、比較的体力があり、便秘がちで、肩こりや頭痛などを伴う人の肥満症、高血圧に伴う諸症状、胆石症、胆のう炎、胃炎などに用いられる漢方薬です。複数の生薬を組み合わせることで、それぞれの持つ効果が複合的に作用し、症状の改善を目指します。
主成分
大柴胡湯は、以下の8種類の生薬から構成されています。
- 柴胡(サイコ): セリ科の植物の根で、炎症を抑え、気の巡りを良くする作用があるとされます。精神的な不安やイライラ、食欲不振などに用いられます。
- 半夏(ハンゲ): サトイモ科の植物の塊茎で、吐き気や嘔吐を抑え、痰を除く作用があるとされます。消化器系の不調や咳などに用いられます。
- 芍薬(シャクヤク): ボタン科の植物の根で、筋肉の痙攣を鎮め、痛みを和らげる作用があるとされます。腹痛や生理痛、こむら返りなどに用いられます。
- 黄芩(オウゴン): コガネバナの根で、炎症を抑え、熱を下げる作用があるとされます。呼吸器系の炎症や下痢などに用いられます。
- 枳実(キジツ): ダイダイなどの未熟な果実で、胃腸の働きを整え、便通を促す作用があるとされます。便秘や消化不良などに用いられます。
- 大黄(ダイオウ): 特定の植物の根や根茎で、瀉下作用があり、便秘を解消する効果があります。
- 生姜(ショウキョウ): ショウガの根茎で、体を温め、消化を助ける作用があるとされます。冷えや吐き気などに用いられます。
- 大棗(タイソウ): ナツメの果実で、体を滋養し、精神を安定させる作用があるとされます。体力の低下や精神不安などに用いられます。
これらの生薬が、それぞれの特性を発揮し、大柴胡湯としての効果をもたらします。
分類
- 漢方薬
効能・効果
比較的体力があり、便秘しがちで、上腹部が張り、肩、首筋のこり、いらいら、舌の苔が黄色いものの次の諸症:
- 肥満症
- 高血圧に伴う肩こり、頭痛、便秘
- 胆石症
- 胆のう炎
- 胃炎
用法・用量
通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤や錠剤など、剤形によって用法・用量が異なる場合がありますので、指示された用法・用量を守ってください。
- 食前または食間に服用することで、胃腸への負担を軽減し、薬の吸収を良くする効果が期待できます。
副作用
大柴胡湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用として、以下のものが報告されています。
- 消化器系: 胃部不快感、腹痛、下痢、食欲不振、悪心、嘔吐など
- 皮膚: 発疹、発赤、かゆみなど
- 肝臓: AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTPなどの上昇
- その他: 動悸、のぼせ、むくみ、発汗、めまいなど
まれに、以下のような重篤な副作用が報告されています。
- 間質性肺炎: 階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする、空咳が出る、発熱などがみられ、これらの症状が急にあらわれたり、持続したりする。(初期症状:息切れ、呼吸困難、発熱、空咳など)
- 肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などがあらわれることがあります。
- 偽アルドステロン症: 手足のだるさ、筋力低下、筋肉痛、血圧上昇、むくみなどが現れることがあります。
- ミオパチー: 手足のだるさ、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。特に、間質性肺炎や肝機能障害、偽アルドステロン症、ミオパチーは早期の対応が重要となります。
その他
- 大柴胡湯は、証(体質や症状)に合わないで使用すると、効果がないだけでなく、かえって症状を悪化させる可能性があります。必ず医師または薬剤師の診断に基づいて服用してください。
- 他の漢方薬や西洋薬と併用する場合には、相互作用のリスクがあるため、必ず医師または薬剤師に相談してください。
- 服用中に体調が悪くなった場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
- 小児や高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性は、服用前に必ず医師または薬剤師に相談してください。
- 長期間服用する場合には、定期的に医師または薬剤師の診察を受け、経過を観察してもらうことが大切です。
注意事項
- この情報は、大柴胡湯に関する一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。