当帰芍薬散

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)について

当帰芍薬散は、日本で古くから用いられてきた漢方薬の一種です。女性特有の症状や、冷え、むくみなど幅広い症状に効果を発揮することで知られています。体力があまりなく、比較的虚弱な体質で、冷え症で貧血の傾向がある方に向いているとされています。

主成分

当帰芍薬散は、以下の6種類の生薬を一定の割合で配合したものです。

  • 当帰(トウキ): セリ科のトウキの根を乾燥させたもの。血行を促進し、鎮痛、造血作用などがあるとされます。
  • 芍薬(シャクヤク): ボタン科のシャクヤクまたはベニバナボタンの根を乾燥させたもの。鎮痛、鎮痙、抗炎症作用などがあるとされます。
  • 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ): キク科のホソバオケラまたはオケラの根茎を乾燥させたもの。利水作用、健胃作用などがあるとされます。製品によってどちらか一方、または両方が配合されています。
  • 茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。利水作用、鎮静作用などがあるとされます。
  • 沢瀉(タクシャ): オモダカ科のサジオモダカの塊茎を乾燥させたもの。利水作用があり、体内の余分な水分を排出するのを助けます。
  • 川芎(センキュウ): セリ科のセンキュウの根茎を乾燥させたもの。血行を促進し、鎮痛作用などがあるとされます。

分類

  • 漢方製剤

効能・効果

当帰芍薬散は、主に以下のような症状に効果があるとされています。

  • 婦人科系の症状:
    • 月経不順
    • 月経異常
    • 月経痛
    • 更年期障害に伴う諸症状(めまい、頭重、肩こり、倦怠感、冷えなど)
    • 産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみなど)
  • その他:
    • めまい
    • 頭重
    • 肩こり
    • 腰痛
    • 足腰の冷え症
    • しもやけ
    • むくみ
    • しみ(比較的体力の低下した冷え症の女性の場合)

このように、当帰芍薬散は、血行を改善し、水分代謝を整えることで、様々な女性特有の症状や、冷え、むくみなどを改善する効果が期待されています。

用法・用量

  • 通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 医療用医薬品の場合、医師の指示に従った用法・用量となります。
  • 市販薬の場合も、製品に記載されている用法・用量を守って服用してください。
  • 顆粒剤やエキス剤の場合、そのまま水または白湯で服用します。

副作用

当帰芍薬散は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。

  • 過敏症: 発疹、かゆみなど
  • 消化器症状: 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢など
  • 肝機能異常: AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇など(まれに報告されています)
  • その他: 倦怠感、動悸など

これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

その他

  • 服用に注意が必要な方:
    • 著しく胃腸の虚弱な方(食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などが悪化するおそれがあります)
    • 食欲不振、悪心、嘔吐のある方(これらの症状が悪化するおそれがあります)
    • 妊娠または授乳中の方(医師または薬剤師に相談してください)
    • 他の医薬品を服用している方(相互作用に注意が必要な場合があります)
  • 保管方法:
    • 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
    • 小児の手の届かない所に保管してください。
    • 誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。
  • 当帰芍薬散は、体質や症状に合わせて用いられる漢方薬です。自己判断で使用せず、必ず医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。

注意事項

この情報は当帰芍薬散の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。

必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。

より詳しい情報が必要な場合は、医療用医薬品の添付文書や、市販薬の製品情報を確認するか、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。