桂枝茯苓丸について
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は、日本で広く用いられている漢方薬の一つです。血の巡りを改善する効果があるとされ、女性特有の症状をはじめ、様々な疾患や症状に用いられます。比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えるなどの症状を訴える方の、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびなどに効果があるとされています。
主成分
桂枝茯苓丸は、以下の5つの生薬から構成されています。
- 桂皮(ケイヒ): クスノキ科のケイの樹皮を乾燥させたもの。体を温め、血行を促進する作用、鎮痛作用、発汗作用などがあります。
- 茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。利水作用、鎮静作用、健脾作用などがあり、体内の余分な水分を取り除くのを助け、精神安定にも関わるとされます。
- 牡丹皮(ボタンピ): ボタン科のボタンの根皮を乾燥させたもの。瘀血(おけつ:血の滞り)を改善する作用、鎮痛作用、消炎作用、解熱作用などがあります。
- 桃仁(トウニン): バラ科のモモまたはアンズの種子を乾燥させたもの。瘀血を改善する作用、腸を潤し便通を促す作用などがあります。
- 芍薬(シャクヤク): ボタン科のシャクヤクまたはベニバナシャクヤクの根を乾燥させたもの。鎮痛作用、鎮痙作用、収斂作用、補血作用などがあり、筋肉の痙攣を鎮めたり、出血を抑えたりするのに役立ちます。
これらの生薬が相互に作用することで、桂枝茯苓丸としての効果を発揮します。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えるなどの症状を訴えるものの次の諸症:
- 月経不順
- 月経異常
- 月経痛
- 更年期障害
- 肩こり
- めまい
- 頭重
- 打ち身(打撲症)
- しもやけ
- しみ
- 湿疹・皮膚炎
- にきび
このように、女性特有の症状だけでなく、打ち身やしもやけ、皮膚症状にも用いられることがあります。これは、血行改善作用がこれらの症状の緩和に繋がると考えられているためです。
用法・用量
- 通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤や錠剤など、剤形によって用法・用量が異なる場合がありますので、指示された用法・用量を守りましょう。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、下痢など
- 皮膚症状: 発疹、かゆみなど
- 肝機能異常: まれに肝機能障害が現れることがあります。定期的な検査などで注意が必要です。
重大な副作用としては、偽アルドステロン症やミオパチーが報告されています。
- 偽アルドステロン症: 長期連用により、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、脱力感などの症状が現れることがあります。これは、甘草(カンゾウ)という生薬を多量に含む他の漢方薬との併用で起こりやすいとされていますが、桂枝茯苓丸には甘草は含まれていません。しかし、体質によっては同様の症状が現れる可能性も否定できません。
- ミオパチー: 長期連用により、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
上記のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 相互作用: 他の医薬品や漢方薬との併用には注意が必要です。特に、血液凝固を抑制する薬(ワーファリンなど)との併用は、出血傾向を増強する可能性があるため、医師または薬剤師に必ず相談してください。
- 高齢者: 一般的に高齢者は生理機能が低下しているため、慎重な投与が必要です。
- 妊婦・授乳婦: 妊娠中または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性は、医師または薬剤師に相談してください。
- 小児: 小児に対する安全性は確立されていません。医師または薬剤師の指示に従ってください。
- 長期服用: 症状の改善が見られない場合や、長期にわたって服用する場合は、医師または薬剤師に相談してください。
注意事項
- この情報は桂枝茯苓丸の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。漢方薬は体質や症状に合わせて処方されるため、専門家のアドバイスが重要です。