呉茱萸湯（ゴシュユトウ）について
呉茱萸湯は、比較的体力がなく、冷え症で、みぞおちがつかえ、ときに手足の冷えがある方の、頭痛、嘔吐、しゃっくり（吃逆）に用いられる漢方薬です。体を温め、胃腸の機能を整えることで、これらの症状を改善すると考えられています。
主成分
呉茱萸湯は、以下の5種類の生薬から構成されています。
- 呉茱萸（ゴシュユ）: 温性の生薬で、体を温め、痛みを鎮める作用があります。悪心や嘔吐を抑える効果も期待できます。
- 人参（ニンジン）: 温性の生薬で、胃腸の機能を高め、体力を補う作用があります。
- 生姜（ショウキョウ）: 温性の生薬で、体を温め、消化機能を促進する作用があります。悪心や嘔吐を抑える効果も期待できます。
- 大棗（タイソウ）: 温性で甘味のある生薬で、胃腸を養い、精神安定作用があるとされています。
- 甘草（カンゾウ）: 平性で甘味のある生薬で、炎症を抑え、痛みを和らげる作用や、他の生薬の作用を調和する効果があります。
これらの生薬が相互に作用することで、呉茱萸湯としての効果を発揮します。
分類
- 漢方薬
- 温裏薬（体を温める作用のある薬）
効能・効果
比較的体力がなく、冷え症で、みぞおちがつかえ、ときに手足の冷えがあるものの次の諸症：
- 頭痛
- 嘔吐
- しゃっくり（吃逆）
具体的には、冷えによる頭痛や、胃腸の冷えからくる嘔吐、原因不明のしゃっくりなどに用いられます。体力がない方や、冷えを感じやすい方に適しています。
用法・用量
通常、成人1日7.5gを2～3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 煎じ薬: 生薬を水で煮出して服用します。生薬の配合量や水の量、煮出す時間などは、医療機関や漢方薬局の指示に従ってください。
- エキス顆粒・細粒: 医療用医薬品として、エキス顆粒や細粒の製剤も販売されています。通常、1回2.5gを1日3回服用します。市販薬としても同様の剤形があります。
年齢、体重、症状により適宜増減されます。必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢など
- 過敏症: 発疹、かゆみなど
まれに、重篤な副作用として以下のものが報告されています。
- 偽アルドステロン症: 長期間または大量に甘草を含む漢方薬を服用した場合に現れることがあります。症状としては、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれなどが挙げられます。異常を感じたら直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
- 肝機能障害: まれに、AST（GOT）、ALT（GPT）、γ-GTPなどの肝機能検査値の上昇が現れることがあります。
これらの副作用は、体質や服用量、他の薬との飲み合わせなどによって起こる可能性があります。服用中にいつもと違う症状が現れた場合は、速やかに医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 呉茱萸湯は、体力のない方や冷え症の方に用いられる漢方薬です。体力が充実している方には、適さない場合があります。
- 他の漢方薬や西洋薬と併用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。相互作用により、効果が増強したり、副作用が現れやすくなることがあります。
- 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、服用前に必ず医師に相談してください。
- 小児への投与は、慎重に行う必要があります。医師または薬剤師の指示に従ってください。
- 高齢者は、生理機能が低下している場合があるため、慎重に投与する必要があります。
- 症状の改善が見られない場合や、悪化する場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
注意事項
この情報は呉茱萸湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。