大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)について
大黄牡丹皮湯は、比較的体力があり、下腹部痛があって便秘がちの人の、にきび、しみ、吹出物、月経不順、便秘、痔疾、腹部膨満感、瘀血(おけつ)に伴う諸症状の改善に用いられる漢方薬です。複数の生薬が配合されており、それぞれの作用が複合的に働くことで効果を発揮します。
主成分(生薬)
大黄牡丹皮湯は、以下の6種類の生薬から構成されています。
- 大黄(ダイオウ): 瀉下作用(便通を促す作用)があり、腸内の停滞した便や老廃物を排出するのを助けます。また、抗菌作用や抗炎症作用も期待されます。
- 牡丹皮(ボタンピ): 駆瘀血作用(血行を改善し、瘀血を取り除く作用)があり、炎症を鎮め、痛みを和らげる効果があります。女性ホルモンのバランスを整える作用も示唆されています。
- 芒硝(ボウショウ): 瀉下作用があり、特に硬くなった便を軟らかくして排出しやすくします。ミネラル成分である硫酸ナトリウムを主成分とします。
- 桃仁(トウニン): 駆瘀血作用があり、血行を促進し、瘀血による症状を改善します。便秘に伴う腹痛などを和らげる効果も期待されます。
- 冬瓜子(トウガシ): 排膿作用や利水作用(水分代謝を改善する作用)があるとされ、皮膚の炎症や腫れを抑えるのに役立ちます。
- 甘草(カンゾウ): 炎症を抑える抗炎症作用や、痛みを和らげる鎮痛作用、さらに胃腸の働きを整える作用など、多様な薬理作用があります。他の生薬の作用を調和する役割も果たします。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
比較的体力があり、下腹部痛があって便秘しがちなものの次の諸症:
- にきび
- しみ
- 吹出物
- 月経不順
- 便秘
- 痔疾
- 腹部膨満感
- 瘀血(おけつ)
用法・用量
- 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤や煎じ薬など、剤形によって服用方法が異なる場合がありますので、指示された方法で服用してください。
副作用
主な副作用として、以下のものが報告されています。
- 消化器症状: 軟便、下痢、腹痛、食欲不振、胃部不快感など。特に、大黄や芒硝による瀉下作用が強く現れることがあります。
- 皮膚症状: 発疹、発赤、かゆみなど。
- その他: まれに、肝機能異常などが報告されることがあります。
重大な副作用としては、現在のところ添付文書等で特筆されていませんが、体質や症状によっては予期せぬ反応が現れる可能性も否定できません。異常を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 慎重投与:
- 著しく胃腸の弱い患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性
- 高齢者
- 他の医薬品(特に瀉下薬)を服用している患者
- 相互作用: 他の医薬品との相互作用については、医師または薬剤師に相談してください。特に、他の瀉下薬との併用は、下痢などの症状を増強するおそれがあります。
- 長期投与: 長期にわたる服用は、体質によっては注意が必要な場合があります。医師または薬剤師の指示に従い、定期的な経過観察を受けるようにしてください。
- 保管及び取扱い上の注意: 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。小児の手の届かない所に保管してください。他の容器に入れ替えないでください(誤用の原因になったり品質が変わったりするおそれがあります)。
注意事項
- この情報は、大黄牡丹皮湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されるため、自己判断での使用は避け、必ず医師または薬剤師の診断・指導のもとで使用してください。
- 服用前に、ご自身の体質や既往歴、現在服用している薬などを医師または薬剤師に必ず伝え、適切な指導を受けてください。
- 服用中に異常を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
より詳しい情報が必要な場合は、医療機関を受診するか、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。