潤腸湯(じゅんちょうとう)について
潤腸湯は、漢方処方の一つであり、便秘の改善を目的として用いられる医薬品です。体力中等度以下で、大便が硬く、便秘しがちな方に適しています。便を潤し、排便を促す効果があるとされています。
主成分
潤腸湯は、以下の生薬を一定の割合で配合したものです。
- 麻子仁(マシニン): アサという植物の種子で、多量の脂肪油を含み、腸を潤滑にして排便を促す作用があります。
- 桃仁(トウニン): モモの種子で、クマリン誘導体などを含み、血行を促進し、腸の運動を活発にする作用があるとされます。また、便を柔らかくする効果も期待されます。
- 大黄(ダイオウ): ダイオウ属植物の根や根茎で、アントラキノン誘導体を含み、腸を刺激して排便を促す瀉下作用があります。
- 当帰(トウキ): セリ科植物の根で、精油成分やクマリン誘導体などを含み、血行を促進し、腸の蠕動運動を助けるとともに、婦人科系の症状改善にも用いられます。
- 厚朴(コウボク): ホオノキの樹皮で、マグノロールやホノキオールなどの成分を含み、胃腸の機能を整え、腹部の膨満感を和らげる作用があるとされます。
- 枳実(キジツ): ナツミカンの未熟な果実で、フラボノイドなどを含み、腸の蠕動運動を調整し、便秘を改善する作用があります。
これらの生薬が相互に作用することで、潤腸湯は便秘に対して効果を発揮すると考えられています。
分類
- 漢方製剤
- 便秘薬
効能・効果
体力中等度以下で、大便が硬く、便秘しがちなものの便秘。
具体的には、以下のような症状の改善に用いられます。
- 常習便秘
- 老人性便秘
- 産後・術後の便秘
潤腸湯は、単に便を排出するだけでなく、腸を潤し、排便をスムーズにすることを目的としています。そのため、コロコロとした硬い便が出にくいタイプの方に適しています。
用法・用量
- 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤や煎じ薬など、剤形によって服用方法が異なる場合がありますので、指示に従ってください。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器症状: 腹痛、下痢、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐など。特に、大黄が含まれているため、人によっては腹痛や下痢を引き起こす可能性があります。
- 皮膚症状: 発疹、発赤、かゆみなど。
- 肝機能異常: まれに、AST(GOT)、ALT(GPT)などの肝機能検査値の上昇が報告されています。
- その他: 動悸、のぼせなど。
重大な副作用
重大な副作用は、現在のところ添付文書等で特筆されていませんが、上記のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 潤腸湯は、体力中等度以下の方に用いられる漢方薬です。体力が充実している方には、他の便秘薬が適している場合があります。
- 妊娠または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性のある方は、服用前に医師または薬剤師に相談してください。
- 他の医薬品(特に下剤)を服用している場合は、相互作用に注意が必要な場合がありますので、必ず医師または薬剤師に伝えてください。
- 小児への投与については、医師または薬剤師の指示に従ってください。
- 服用しても症状の改善が見られない場合は、医師または薬剤師に相談してください。
注意事項
- この情報は潤腸湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。