桃核承気湯

桃核承気湯について

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は、比較的体力があり、便秘がちで、のぼせやイライラ、出血などを伴う方の月経不順、月経困難症、便秘、痔疾、高血圧に伴う症状(頭痛、めまい、肩こり)などに用いられる漢方薬です。血行を改善し、炎症を鎮め、便通を促す効果があるとされています。

主成分

桃核承気湯は、以下の生薬から構成されています。

  • 桃仁(トウニン): 駆瘀血作用(血の滞りを改善する)、鎮痛作用
  • 大黄(ダイオウ): 瀉下作用(便通を促す)、抗菌作用、抗炎症作用
  • 芒硝(ボウショウ): 瀉下作用(便通を促す)、炎症を鎮める
  • 桂皮(ケイヒ): 健胃作用、発汗・解熱作用、鎮痛作用、血行促進作用
  • 甘草(カンゾウ): 鎮痛作用、抗炎症作用、緩和作用、利尿作用

これらの生薬が配合されることで、それぞれの作用が複合的に働き、桃核承気湯としての効果を発揮します。

分類

  • 漢方製剤
  • 駆瘀血剤(くおけつざい)
  • 瀉下薬(しゃげやく)

効能・効果

比較的体力があり、便秘がちで、のぼせ、出血傾向のあるものの次の諸症:

  • 月経不順
  • 月経困難症
  • 便秘
  • 痔疾
  • 高血圧に伴う頭痛、めまい、肩こり

これらの症状は、東洋医学的に「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血の滞りが関与していると考えられています。桃核承気湯は、この瘀血を改善することで、上記のような症状を緩和するとされています。

用法・用量

  • 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 顆粒剤や錠剤など、剤形によって用法・用量が異なる場合がありますので、製品の指示に従ってください。

副作用

主な副作用として、以下のものが報告されています。

  • 消化器系: 腹痛、下痢、食欲不振、悪心、嘔吐など
    • 特に、大黄や芒硝といった瀉下作用のある生薬が含まれているため、腹痛や下痢といった消化器系の症状が出やすい傾向があります。
  • 過敏症: 発疹、かゆみなど
    • 体質によっては、皮膚症状などの過敏症状が現れることがあります。

重大な副作用として、比較的頻度は低いものの、以下のものが報告されています。

  • 肝機能障害: AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害が現れることがあります。
  • 腸間膜静脈硬化症: 長期服用により、腸間膜の静脈が硬くなることがあります。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などが現れることがあります。

これらの副作用が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。特に、持続する腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などの症状が現れた場合は、腸間膜静脈硬化症の可能性も考慮し、速やかに医師の診察を受けてください。

その他

  • 体力のない方、胃腸の弱い方、下痢しやすい方には慎重に投与する必要があります。
  • 高齢者は、生理機能が低下している場合があるため、減量するなど注意が必要です。
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。流産・早産の危険性があるため、慎重な投与が必要です。
  • 授乳中の女性は、服用を避けることが望ましいとされています。
  • 他の医薬品(特に瀉下薬)との併用には注意が必要です。
  • 長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。

注意事項

  • この情報は桃核承気湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。