五積散（ゴシャクサン）について
五積散は、日本で医療用および一般用医薬品として用いられている漢方薬の一つです。比較的体力がある方で、冷え、むくみ、痛みなどを伴う様々な症状に用いられます。体内の余分な水分を取り除き、血行を促進することで症状の改善を目指します。
主成分
五積散は、以下の複数の生薬から構成されています。配合される生薬の種類と量は、製品によって若干異なる場合がありますが、一般的には以下の生薬が含まれています。
- 日局 カンゾウ（甘草）: 鎮痛、抗炎症作用、緩和作用など
- 日局 ケイヒ（桂皮）: 発汗、解熱、鎮痛、健胃作用など
- 日局 コウボク（厚朴）: 健胃、整腸、鎮痛作用など
- 日局 ゴシツ（牛膝）: 鎮痛、利尿作用など
- 日局 ショウキョウ（生姜）: 健胃、発汗、解熱作用など
- 日局 ソウジュツ（蒼朮）またはビャクジュツ（白朮）: 健胃、利尿、鎮静作用など
- 日局 タイソウ（大棗）: 滋養強壮、緩和作用など
- 日局 トウキ（当帰）: 補血、鎮痛、血行促進作用など
- 日局 ブクリョウ（茯苓）: 利水、鎮静作用など
- 日局 ハンゲ（半夏）: 鎮吐、去痰作用など
- 日局 マオウ（麻黄）: 発汗、鎮咳、去痰、気管支拡張作用など
- 日局 ボウフウ（防風）: 発汗、鎮痛、抗炎症作用など
- 日局 キキョウ（桔梗）: 去痰、鎮咳作用など
- 日局 シャクヤク（芍薬）: 鎮痛、鎮痙、収斂作用など
これらの生薬が、それぞれの薬理作用を複合的に発揮することで、五積散の効能・効果を示すと考えられています。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
比較的体力があるものの次の諸症：
- 関節痛
- 神経痛
- 腰痛
- 冷え症
- 浮腫（むくみ）
- 帯下（おりもの）
これらの症状は、一般的に冷えや湿気、血行不良などが関与していると考えられており、五積散はこれらの要因に働きかけることで症状の改善を目指します。関節痛や神経痛、腰痛といった痛みに対しては、鎮痛作用や血行促進作用が期待されます。冷え症や浮腫に対しては、体を温めたり、余分な水分を排出したりする作用が期待されます。また、帯下（おりもの）に対しても、体内のバランスを整えることで効果を発揮すると考えられています。
用法・用量
- 医療用医薬品の場合: 通常、成人には1日7.5gを2～3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 一般用医薬品の場合: 製品によって用法・用量が異なる場合がありますので、製品の添付文書をよく読んで、用法・用量を守って服用してください。一般的には、成人（15歳以上）1回1包または定められた量を、1日2～3回、食前または食間に水または白湯で服用します。
いずれの場合も、必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて用いられることが重要です。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢など
- 過敏症: 発疹、かゆみなど
五積散に含まれる生薬によっては、まれに以下のような副作用が報告されています。
- 甘草（カンゾウ）: 偽アルドステロン症（低カリウム血症、血圧上昇、むくみなど）、ミオパチー（手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて脱力感、筋肉痛など）が現れることがあります。長期連用する場合には注意が必要です。
- 麻黄（マオウ）: 動悸、不眠、発汗過多、血圧上昇、排尿困難などが現れることがあります。高血圧症、心臓病、甲状腺機能亢進症などのある方、体の虚弱な方、発汗傾向の著しい方、高齢者では慎重な投与が必要です。
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。また、服用前に自身の体質や既往歴などを医師、薬剤師または登録販売者に伝えることが重要です。
その他
- 五積散は、比較的体力がある方に用いられることが多い漢方薬です。体力が虚弱な方や、胃腸が弱い方には慎重な投与が必要となる場合があります。
- 他の医薬品や漢方薬と併用する場合には、相互作用に注意が必要です。必ず医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 服用しても症状の改善が見られない場合は、服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 小児や高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性は、医師、薬剤師または登録販売者に相談してから服用してください。
注意事項
- この情報は五積散の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
- 必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。
- より詳しい情報が必要な場合は、医療用医薬品であれば医師または薬剤師に、一般用医薬品であれば薬剤師または登録販売者にご相談ください。製品の添付文書も必ずお読みください。