芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)について
芍薬甘草湯は、漢方処方の一つであり、急激に起こる筋肉のけいれんや痛みを鎮める効果があります。医療用医薬品としてだけでなく、一般用医薬品としても販売されています。
主成分
芍薬甘草湯は、以下の2つの生薬から構成されています。
- 芍薬(シャクヤク): ボタン科の多年草であるシャクヤクの根を乾燥させたもの。鎮痛、鎮痙、抗炎症、止血などの作用があるとされています。筋肉のけいれんを和らげ、痛みを鎮める効果が期待されます。
- 甘草(カンゾウ): マメ科の多年草であるカンゾウの根やストロン(地下茎)を乾燥させたもの。グリチルリチン酸などの成分を含み、抗炎症、鎮痛、鎮咳、去痰、抗アレルギーなどの作用があるとされています。芍薬の鎮痛・鎮痙作用を助けると考えられています。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
体力に関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの次の諸症:
- こむらがえり
- 筋肉のけいれん
- 腹痛
- 腰痛
これらの症状は、筋肉の過度な緊張や疲労、電解質バランスの乱れ、冷えなどが原因で起こることがあります。芍薬甘草湯は、芍薬と甘草の相互作用により、これらの筋肉の異常な収縮を鎮め、痛みを緩和すると考えられています。スポーツ後の筋肉痛や、就寝中のこむらがえりなどによく用いられます。
用法・用量
- 医療用医薬品の場合: 通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 一般用医薬品の場合: 製品によって用法・用量が異なりますので、添付文書をよく読んでから服用してください。通常、成人(15歳以上)は1回1包(または定められた量)を1日2~3回、食前または食間に水またはお湯で服用します。
いずれの場合も、症状に応じて用量が調整されることがあります。効果を感じられない場合や、症状が悪化する場合には、自己判断で増量や長期服用をせずに、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
副作用
芍薬甘草湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。
主な副作用として、以下のものが報告されています。
- 消化器症状: 胃部不快感、腹部膨満感、食欲不振、下痢など。これらの症状は比較的まれですが、もし現れた場合は服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
重大な副作用(頻度不明)
- 偽アルドステロン症: 長期間または大量に甘草を含む製剤を服用した場合に現れることがあります。症状として、低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫(むくみ)、体重増加、手足の脱力・麻痺などが報告されています。異常を感じたら直ちに服用を中止し、医師の診療を受けてください。特に、高齢者や心疾患、腎疾患のある方は注意が必要です。
- ミオパチー: 低カリウム血症の結果として、筋肉の脱力感、筋肉痛、手足のしびれ・麻痺などが現れることがあります。異常を感じたら直ちに服用を中止し、医師の診療を受けてください。
その他
- 他の医薬品や漢方製剤との併用には注意が必要です。特に、甘草を含む製剤との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高める可能性がありますので、医師、薬剤師または登録販売者に必ず相談してください。
- 高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性、心臓病、腎臓病のある方などは、服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 小児への投与は、医師または薬剤師の指示に従ってください。
- 定められた用法・用量を守って服用してください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
注意事項
- この情報は芍薬甘草湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
- 必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。
- より詳しい情報が必要な場合は、医療用医薬品の添付文書や、一般用医薬品の製品情報を確認するか、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。