調胃承気湯

調胃承気湯について

調胃承気湯(ちょういじょうきとう)は、漢方処方の一つであり、比較的体力のある人で、便秘傾向があり、ときに腹部膨満感などを伴う場合に用いられることがあります。主に胃腸の働きを整え、便通を促す効果があるとされています。

主成分

調胃承気湯は、以下の3つの生薬から構成されています。

  • 大黄(ダイオウ): 瀉下作用(下剤としての作用)があり、腸の蠕動運動を促進し、便を排泄するのを助けます。
  • 芒硝(ボウショウ): 芒硝の主成分は硫酸ナトリウムであり、塩類下剤として作用します。腸内の水分を保持することで便を軟化させ、排便を促します。
  • 甘草(カンゾウ): 炎症を抑える作用や、他の生薬の作用を緩和する目的で配合されます。また、消化器系の機能を整える効果も期待されます。

これらの生薬が相互に作用することで、調胃承気湯の効果を発揮します。

分類

  • 漢方製剤
  • 瀉下薬(緩下剤に分類される場合もあります)

効能・効果

比較的体力のあるものの便秘、便秘に伴う頭痛・のぼせ・腹部膨満感・腸内異常発酵・痔

具体的には、以下のような症状の改善に用いられることがあります。

  • 便秘: コロコロとした硬い便や、排便困難な状態。
  • 便秘に伴う症状:
    • 頭痛
    • のぼせ(顔がほてる、熱っぽく感じる)
    • 腹部膨満感(お腹が張る、ガスが溜まる感じ)
    • 腸内異常発酵(おならが臭い、腹鳴など)

ただし、これらの症状がある場合でも、体質や病状によっては他の漢方薬がより適している場合があるため、専門家(医師、薬剤師、登録販売者)の判断が重要です。

用法・用量

通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。

  • 煎じ薬: 生薬を水で煮出して服用する方法です。生薬の量や水の量、煮出す時間などは、医療機関や漢方薬局の指示に従ってください。
  • 顆粒剤、細粒剤: 医療用医薬品や一般用医薬品として販売されている製剤です。通常、1回量を水またはぬるま湯で服用します。

年齢、体重、症状により適宜増減されます。必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。

副作用

漢方薬も医薬品であるため、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。調胃承気湯の主な副作用としては、以下のものが報告されています。

  • 消化器症状: 腹痛、下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐など。特に、大黄や芒硝は瀉下作用が強いため、腹痛や下痢を引き起こしやすいことがあります。
  • 過敏症: 発疹、かゆみなど。
  • 肝機能障害: まれに、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPなどの肝機能関連の数値が上昇することがあります。

重大な副作用

重大な副作用としては、以下のものが報告されています(頻度は不明です)。

  • 間質性肺炎: 階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする、空咳が出る、発熱などがみられ、これらの症状が急にあらわれたり、持続したりすることがあります。
  • 偽アルドステロン症: 低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、脱力感、手足の麻痺などが現れることがあります。甘草に含まれる成分が影響することがあります。
  • ミオパチー: 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
  • 肝機能障害、黄疸: 全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるなどが現れることがあります。

これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診療を受けてください。

その他

  • 服用に際しての注意:
    • 他の瀉下薬との併用は避けてください。
    • 体力虚弱な方、胃腸が弱い方、高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の方などは、服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
    • 服用後、症状が悪化した場合や、1週間程度服用しても症状の改善が見られない場合は、服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
    • 小児への投与は、医師または薬剤師の指導のもとで行ってください。
    • 他の医薬品(特に利尿剤、緩下剤)を服用している場合は、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
  • 保管及び取扱い上の注意:
    • 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
    • 小児の手の届かない所に保管してください。
    • 誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。
    • 生薬を用いた製品なので、色や香りが多少異なる場合がありますが、効果には変わりありません。
    • 使用期限を過ぎた製品は服用しないでください。

注意事項

この情報は調胃承気湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。

必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。

より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。