竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)について
竜胆瀉肝湯は、漢方処方の一つであり、比較的体力があり、下腹部から腰にかけて炎症性の症状を示す方に用いられることが多い漢方薬です。排尿痛や残尿感、おりもの、かゆみなどの症状を伴う膀胱炎や尿道炎、陰部の炎症などに効果があるとされています。
主成分
竜胆瀉肝湯は、以下の10種類の生薬から構成されています。
- 竜胆(リュウタン): 苦味健胃、消炎、利胆作用などがあります。炎症を鎮め、熱を取り除く効果が期待されます。
- 黄芩(オウゴン): 消炎、解熱、止血作用などがあります。炎症を抑え、熱感を緩和するのに役立ちます。
- 山梔子(サンシシ): 消炎、利尿、止血作用などがあります。炎症を鎮め、排尿を促す効果が期待されます。
- 木通(モクツウ): 利尿、通経作用などがあります。水分代謝を改善し、排尿を促すのに役立ちます。
- 車前子(シャゼンシ): 利尿、鎮咳、去痰作用などがあります。排尿を促し、炎症による症状を和らげる効果が期待されます。
- 沢瀉(タクシャ): 利尿作用があります。体内の余分な水分を排出し、むくみを改善するのに役立ちます。
- 地黄(ジオウ): 補血、強壮作用などがあります。炎症によって消耗した体力を補い、滋養強壮効果が期待されます。
- 当帰(トウキ): 補血、活血、鎮痛作用などがあります。血行を促進し、痛みを和らげるのに役立ちます。
- 甘草(カンゾウ): 鎮痛、抗炎症、緩和作用などがあります。炎症を抑え、他の生薬の作用を調和させる効果があります。
- 柴胡(サイコ): 解熱、鎮痛、消炎作用などがあります。炎症を鎮め、精神的な安定にも関与するとされています。
これらの生薬が複雑に作用し合うことで、竜胆瀉肝湯としての効果を発揮します。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
比較的体力があり、下腹部から腰にかけて炎症性の症状を示すものの次の諸症:
- 膀胱炎
- 尿道炎
- 陰部湿疹
- こしけ(おりもの)
具体的には、排尿時の痛みや残尿感、頻尿、尿の濁り、おりものの増加、陰部のかゆみや炎症といった症状に対して用いられます。
用法・用量
- 通常、成人には1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 製品によっては、1回あたりの服用量や回数が異なる場合がありますので、添付文書をよく確認してください。
- 顆粒剤や細粒剤の場合、そのまま水または白湯で服用します。錠剤の場合は、水または白湯で服用します。
副作用
竜胆瀉肝湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、軟便、下痢など
- 皮膚症状: 発疹、かゆみなど
まれに、肝機能障害や偽アルドステロン症といった重大な副作用が報告されることがあります。
- 肝機能障害: 長期にわたる服用により、肝臓の機能が悪化することがあります。倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
- 偽アルドステロン症: 甘草に含まれる成分(グリチルリチン酸)の作用により、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、手足のしびれなどの症状が現れることがあります。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
特に、以下の点に注意が必要です。
- 高齢者: 一般的に生理機能が低下しているため、副作用が現れやすいことがあります。
- 他の医薬品との併用: 他の漢方薬や西洋薬との併用により、副作用のリスクが高まることがあります。特に、甘草を含む製剤との併用は注意が必要です。
- 長期服用: 長期間にわたる服用は、副作用のリスクを高める可能性があります。医師や薬剤師の指示に従い、漫然と服用しないようにしましょう。
その他
- 竜胆瀉肝湯は、体質や症状に合わせて使用する漢方薬です。自己判断で使用せず、必ず医師または薬剤師に相談してください。
- 服用前に、現在服用している他の医薬品やサプリメント、アレルギーの有無などを医師または薬剤師に伝えるようにしましょう。
- 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、必ず医師に相談してください。
- 小児への投与は、慎重に行う必要があります。医師または薬剤師の指示に従ってください。
- 服用しても症状の改善が見られない場合や、症状が悪化した場合は、医師または薬剤師に相談してください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
注意事項
この情報は竜胆瀉肝湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。