治打撲一方(ヂダボクイッポウ)について
治打撲一方(ヂダボクイッポウ)は、主に打撲や捻挫などの外傷による痛みや腫れ、炎症を緩和するために用いられる漢方薬です。複数の生薬を組み合わせることで、患部の血行を改善し、炎症を鎮め、痛みを和らげる効果が期待されます。医療用医薬品としてだけでなく、一般用医薬品としても販売されています。
主成分
治打撲一方(ヂダボクイッポウ)は、一般的に以下の生薬を配合しています。配合される生薬の種類や量は、製造メーカーや製品によって若干異なる場合があります。
- ジオウ(地黄): 体の潤いを補い、血を補う作用があるとされます。打撲による内出血や皮膚の乾燥などを改善するのに役立つと考えられています。
- ボウフウ(防風): 体表の邪気を散らし、痛みを和らげる作用があるとされます。打撲による痛みや腫れを緩和するのに用いられます。
- キキョウ(桔梗): 炎症を鎮め、膿を排出する作用があるとされます。打撲部位の炎症を抑える効果が期待されます。
- カンゾウ(甘草): 炎症を鎮め、痛みを和らげる作用があり、他の生薬の作用を調和させる働きもするとされます。
- モッコウ(木香): 気の流れを整え、痛みを和らげる作用があるとされます。打撲による局所のうっ血を改善するのに役立つと考えられています。
- ビャクシ(白芷): 痛みを和らげ、腫れを引かせる作用があるとされます。打撲部位の痛みや腫れを緩和する効果が期待されます。
- タイソウ(大棗): 胃腸の働きを助け、体力を補う作用があるとされます。
- ショウキョウ(生姜): 体を温め、血行を促進する作用があるとされます。打撲部位の血行を改善し、回復を助けると考えられています。
分類
- 漢方製剤
- 主に駆瘀血剤(くおけつざい)に分類されることがあります(血行を改善し、滞った血を取り除く作用が主であるため)。
- 消炎鎮痛薬(漢方)
効能・効果
一般的に、治打撲一方(ヂダボクイッポウ)は以下の症状に対して効果があるとされています。
- 打撲
- 捻挫
- 挫傷(肉離れなど)
- 骨折
- 脱臼
これらの外傷による痛み、腫れ、炎症などの症状を緩和する目的で使用されます。漢方医学的な観点からは、これらの外傷によって生じた「瘀血(おけつ)」、つまり血の流れの滞りを改善することで、症状の改善を目指します。
用法・用量
治打撲一方(ヂダボクイッポウ)の用法・用量は、製品によって異なる場合がありますが、一般的には以下のようになっています。
- 煎じ薬: 生薬を水で煮出して服用します。1日の服用回数や量は、年齢、体重、症状によって異なります。医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤・細粒剤: お湯または水に溶かして服用します。通常、成人には1日2~3回、食前または食間に服用します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 錠剤: 水または白湯で服用します。通常、成人には1日2~3回、食前または食間に服用します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
服用にあたっての注意点
- 必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。
- 定められた用法・用量を守って服用してください。
- 小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
- 食前または食間に服用することが一般的ですが、製品によっては指示が異なる場合があります。
- 煎じ薬の場合、煮出す時間や水の量などが重要になりますので、指示に従ってください。
副作用
漢方薬は比較的副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
- 皮膚症状: 発疹、かゆみなど
- その他: まれに、肝機能異常などが報告されることがあります。
重大な副作用
重大な副作用は比較的まれですが、以下のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
- 偽アルドステロン症: 手足のだるさ、筋力低下、血圧上昇、顔や手足のむくみ、体重増加などが現れることがあります(甘草を長期または大量に服用した場合)。
- ミオパチー: 手足のだるさ、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります(甘草を長期または大量に服用した場合)。
- 肝機能障害: 全身のだるさ、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが現れることがあります。
服用してはいけない場合
以下のような場合は、治打撲一方(ヂダボクイッポウ)を服用する前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 体の虚弱な人、胃腸が弱い人、食欲不振、吐き気、嘔吐のある人
- 著しく体力の衰えている人
- 高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けている人
- むくみのある人
- 高齢者
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人
- 妊娠または授乳中の人
- 他の医薬品を服用している人(特に利尿剤、甘草含有製剤など)
その他
- 症状が改善しない場合や悪化する場合には、服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
- 長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
- 誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。
- 生薬の特性上、色や香りが多少異なることがありますが、効果には変わりありません。
治打撲一方(ヂダボクイッポウ)は、打撲や捻挫などの初期の段階から用いられることが多く、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できる漢方薬です。しかし、症状によっては他の治療法が必要となる場合もありますので、自己判断せずに、専門家の指示に従って使用することが重要です。