滋陰降火湯

滋陰降火湯(じいんこうかとう)について

滋陰降火湯は、漢方処方の一つであり、体力中等度以下で、顔面紅潮があり、のぼせ感やほてり、イライラ、不眠などの精神神経症状を伴う更年期障害、自律神経失調症、高血圧に伴う症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭痛)、めまい、神経症などに用いられます。体内の陰(潤い、栄養)を補い、亢進した火(熱)を鎮めることを目的とした処方です。

主成分

滋陰降火湯は、一般的に以下の生薬を配合して構成されています。配合される生薬の種類と量は、製造メーカーや製品によって若干異なる場合があります。

  • 地黄(ジオウ): 補血滋陰作用があり、体の潤いを補い、熱を冷まします。
  • 芍薬(シャクヤク): 補血、鎮痛、鎮痙作用があり、血行を改善し、筋肉の緊張を和らげます。
  • 当帰(トウキ): 補血活血作用があり、血を補い、血行を促進します。
  • 麦門冬(バクモンドウ): 滋陰潤肺作用があり、肺を潤し、咳を鎮めます。
  • 知母(チモ): 清熱瀉火、滋陰潤燥作用があり、熱を冷まし、潤いを補います。
  • 黄柏(オウバク): 清熱燥湿、瀉火解毒作用があり、炎症を抑え、熱を取り除きます。
  • 牛膝(ゴシツ): 補肝腎、強筋骨、活血通経作用があり、下半身の衰えを補い、血行を促進します。
  • 甘草(カンゾウ): 緩和、鎮痛、抗炎症作用があり、他の生薬の作用を調和させます。

分類

  • 漢方薬

効能・効果

体力中等度以下で、顔面紅潮があり、のぼせ感、ほてり、イライラ、不眠など精神神経症状を伴うものに用いられます。

  • 更年期障害
  • 自律神経失調症
  • 高血圧に伴う症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭痛)
  • めまい
  • 神経症

用法・用量

  • 煎じ薬の場合: 通常、1日量を水で煎じて、食前または食間に服用します。具体的な煎じ方や服用回数は、医療機関や薬局の指示に従ってください。
  • エキス顆粒・錠剤の場合: 通常、成人1日7.5g(エキスとして)を2~3回に分割し、食前または食間に水または白湯で服用します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 製品によって用法・用量が異なる場合がありますので、必ず添付文書または医師・薬剤師の指示に従ってください。

副作用

漢方薬は比較的副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。

  • 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
  • 過敏症: 発疹、かゆみなど

重大な副作用(頻度はまれですが、注意が必要です)

  • 偽アルドステロン症: 長期間または大量に甘草を含む製剤を服用した場合、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などの症状が現れることがあります。定期的な検査や医師の観察が必要です。
  • ミオパチー: 低カリウム血症の結果として、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
  • 肝機能障害: まれにAST(GOT)、ALT(GPT)、ALPなどの上昇を伴う肝機能障害が現れることがあります。

上記のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

その他

  • 体質や症状に合わせた服用: 漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されることが重要です。自己判断での服用は避け、必ず医師または薬剤師の診断・指導のもとで使用してください。
  • 他の医薬品との併用: 他の医薬品(特に利尿薬や甘草を含む製剤)との併用には注意が必要な場合があります。服用中の薬がある場合は、必ず医師または薬剤師に伝えてください。
  • 妊娠・授乳中の服用: 妊娠中または授乳中の女性への投与は、慎重に行う必要があります。必ず医師に相談してください。
  • 小児・高齢者の服用: 小児や高齢者は、体質や生理機能が異なるため、慎重な投与が必要です。医師または薬剤師の指示に従ってください。
  • 効果が現れない場合: 1ヶ月程度服用しても症状の改善が見られない場合は、医師または薬剤師に相談してください。

注意事項

  • この情報は滋陰降火湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、医療機関を受診するか、薬局・ドラッグストアの薬剤師にご相談ください。製品によっては添付文書が提供されていますので、そちらもご確認ください。