升麻葛根湯

升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)について

升麻葛根湯は、日本で古くから用いられてきた漢方処方の一つです。葛根湯を基本としつつ、升麻(ショウマ)という生薬が加わっている点が特徴です。この生薬の配合により、葛根湯が持つ解熱鎮痛、発汗などの作用に加えて、皮膚の発疹やかゆみを鎮める効果、また消化器系の機能を整える効果などが期待されます。体力中等度以上の人で、皮膚にかゆみや発疹があり、微熱、頭痛、肩こりなどを伴う場合に用いられることが多い漢方薬です。

主成分

升麻葛根湯は、以下の生薬を一定の割合で配合したものです。

  • 葛根(カッコン): 8.0g
  • 麻黄(マオウ): 4.0g
  • 芍薬(シャクヤク): 4.0g
  • 甘草(カンゾウ): 2.0g
  • 生姜(ショウキョウ): 1.0g
  • 升麻(ショウマ): 2.0g

(上記は一例であり、製品によって配合量が若干異なる場合があります。必ず製品の添付文書をご確認ください。)

分類

  • 漢方製剤

効能・効果

体力中等度以上のものの次の諸症:

  • しもやけ
  • あせも
  • 湿疹
  • 皮膚炎

比較的体力があり、皮膚に炎症性の症状(かゆみ、赤み、ブツブツなど)が見られ、時に微熱や頭痛、肩こりなどを伴う場合に用いられます。しもやけ、あせも、湿疹、皮膚炎といった、皮膚の炎症やかゆみを伴う症状に対して効果を発揮します。葛根湯の持つ発汗作用や解熱鎮痛作用に加え、升麻の持つ解毒・消炎作用などが総合的に働くことで、これらの皮膚症状を改善すると考えられています。

用法・用量

  • 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 顆粒剤や細粒剤の場合、そのまま水または白湯で服用するか、湯に溶かして服用します。

副作用

漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。

  • 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
  • 皮膚: 発疹、かゆみなど
  • その他: 動悸、のぼせ、発汗過多、脱力感、肝機能異常(まれに)など

特に注意すべき副作用

  • 偽アルドステロン症: 長期間または大量に甘草を含む製剤を服用した場合に、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、手足のしびれなどが現れることがあります。
  • ミオパチー: 長期間または大量に甘草を含む製剤を服用した場合に、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
  • 肝機能障害、黄疸: まれに、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害や黄疸が現れることがあります。
  • 麻黄による影響: 動悸、不眠、発汗過多などが現れることがあります。特に、心臓病、高血圧症、甲状腺機能亢進症などのある方は慎重な投与が必要です。

服用中に異常を感じた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

その他

  • 升麻葛根湯は、体力中等度以上の比較的元気な方に適しています。体力が虚弱な方や、胃腸が弱い方には慎重な投与が必要です。
  • 他の医薬品(特に麻黄や甘草を含む製剤)との併用には注意が必要です。必ず医師または薬剤師に相談してください。
  • 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、必ず医師に相談してください。
  • 小児への投与は、医師または薬剤師の指導のもとで行ってください。
  • 服用しても症状の改善が見られない場合は、医師または薬剤師に相談してください。
  • 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
  • 小児の手の届かない所に保管してください。
  • 誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。

注意事項

  • この情報は升麻葛根湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、製品の添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。