三黄瀉心湯

三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)について

三黄瀉心湯は、黄芩(オウゴン)、大黄(ダイオウ)、黄連(オウレン)という3種類の生薬を配合した漢方薬です。比較的体力があり、のぼせ気味で便秘の傾向がある方に用いられます。炎症を鎮め、熱を冷まし、便通を促す作用があるとされています。

主成分

三黄瀉心湯は、以下の3つの生薬を主成分としています。

  • 黄芩(オウゴン): シソ科のコガネバナの根を乾燥させたものです。苦味があり、解熱、消炎、止血、利尿などの作用があるとされています。炎症を鎮め、熱を取り除く効果が期待されます。
  • 大黄(ダイオウ): タデ科のダイオウ属植物の根や根茎を乾燥させたものです。アントラキノン誘導体を含み、瀉下作用(便通を促す作用)があります。また、抗菌作用や抗炎症作用も報告されています。
  • 黄連(オウレン): キンポウゲ科のオウレンの根茎を乾燥させたものです。苦味成分であるベルベリンなどを含み、消炎、解熱、抗菌、止瀉などの作用があるとされています。特に上半身の熱を取り除く効果が期待されます。

これらの生薬は、それぞれの薬理作用によって、三黄瀉心湯全体の効能・効果を発揮すると考えられています。

分類

  • 漢方薬
  • 瀉下薬(穏やかな排便を促す薬というよりは、熱を取り除く目的で使用されることが多い)
  • 炎症性疾患治療薬

効能・効果

比較的体力があり、のぼせぎみで顔面紅潮し、精神不安、便秘の傾向のあるものの次の諸症

  • 高血圧に伴う症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭痛、めまい)
  • 鼻出血
  • 痔出血
  • 便秘
  • 更年期障害
  • 湿疹・皮膚炎
  • ニキビ

これらの効能・効果は、三黄瀉心湯が持つ解熱、消炎、瀉下作用などが総合的に働くことによって現れると考えられています。特に、体の上部にこもった熱を冷ます作用と、便通を促す作用が、これらの症状の改善に寄与するとされています。

用法・用量

  • 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 煎じ薬の場合、生薬を水で煮出して服用します。エキス顆粒剤や錠剤の場合は、そのまま水または白湯で服用します。

副作用

三黄瀉心湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。

  • 消化器症状: 腹痛、下痢、軟便、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐などが起こることがあります。特に、大黄による瀉下作用が強く現れると、腹痛や下痢を引き起こす可能性があります。
  • 過敏症: 発疹、かゆみなどが現れることがあります。
  • 肝機能異常: まれに、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPなどの肝機能関連の数値が上昇することが報告されています。定期的な検査などで注意が必要です。

重大な副作用

重大な副作用は比較的まれですが、以下のようなものが報告されています。

  • 偽アルドステロン症: 長期間服用した場合、低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などが現れることがあります。これは、甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬との併用で起こりやすいとされていますが、三黄瀉心湯には甘草は含まれていません。しかし、体質によっては同様の症状が現れる可能性も否定できません。
  • 腸間膜静脈硬化症: 長期間服用した場合、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満などが繰り返し現れることがあります。

上記のような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

その他

  • 体力のない方、胃腸が弱い方、食欲不振、悪心、嘔吐のある方、下痢しやすい方などは、慎重に投与する必要があります。
  • 高齢者や妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性は、医師または薬剤師に相談してください。
  • 他の医薬品(特に瀉下薬)との併用には注意が必要です。
  • 症状の改善が見られない場合や、副作用が現れた場合は、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
  • 小児への投与は、医師または薬剤師の指導のもとで行う必要があります。

注意事項

  • この情報は三黄瀉心湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。