胃苓湯

胃苓湯(イレイトウ)について

胃苓湯(イレイトウ)は、漢方処方の一つであり、複数の生薬を組み合わせることで、急性胃腸炎、暑気あたり、下痢、嘔吐、むくみなど、比較的体力のある方の消化器系の不調や水分の代謝異常に伴う症状の改善に用いられます。

市販薬としては、顆粒剤や錠剤の形で販売されており、医療用医薬品としても同名の製剤が存在します。製品によって成分の配合量や添加物が異なる場合があります。

主成分

胃苓湯は、以下の10種類の生薬から構成されています。

  1. 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ): 健脾燥湿作用があり、胃腸の機能を高め、余分な水分を取り除く効果があります。
  2. 茯苓(ブクリョウ): 利水滲湿作用があり、体内の余分な水分を排出し、精神安定作用も期待できます。
  3. 猪苓(チョレイ): 利水滲湿作用があり、排尿を促し、むくみを改善します。
  4. 沢瀉(タクシャ): 利水滲湿作用があり、体内の水分バランスを調整します。
  5. 桂皮(ケイヒ): 温中散寒作用があり、体を温め、胃腸の冷えによる不調を改善します。
  6. 厚朴(コウボク): 理気化湿作用があり、胃腸の気の流れを整え、消化不良や腹部の膨満感を和らげます。
  7. 陳皮(チンピ): 理気健脾作用があり、胃腸の働きを助け、食欲不振や吐き気を改善します。
  8. 甘草(カンゾウ): 緩和作用、鎮痛作用、抗炎症作用などがあり、他の生薬の作用を調和させる働きもあります。
  9. 大腹皮(ダイフクヒ): 行気利水作用があり、腹部の膨満感を取り除き、水分代謝を改善します。
  10. 生姜(ショウキョウ): 温中散寒作用があり、体を温め、吐き気を抑える効果があります。

製品によっては、上記生薬の配合量や比率が異なる場合があります。

分類

  • 漢方製剤

効能・効果

比較的体力のあるものの次の諸症:

  • 急性胃腸炎(しぶり腹のものには用いないこと)
  • 暑気あたり
  • 下痢
  • 嘔吐
  • むくみ

「しぶり腹」とは、急に便意をもよおすものの、排便しても残便感があり、再び便意をもよおす状態を指します。胃苓湯は、このような症状には適していません。

用法・用量

  • 医療用医薬品の場合: 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 市販薬の場合: 製品によって用法・用量が異なりますので、添付文書をよく読んで、指示に従って服用してください。一般的には、成人1回1包または数錠を1日2~3回、食前または食間に服用することが多いです。

いずれの場合も、必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。

副作用

漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。

  • 消化器: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
  • 過敏症: 発疹、かゆみなど

まれに、偽アルドステロン症(低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、手足のしびれ等)やミオパチー(筋肉痛、脱力感等)が現れることがあります。これらの症状が現れた場合には、直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。

また、甘草を含むため、他の甘草含有製剤やグリチルリチン酸、その塩類を含有する製剤との併用には注意が必要です。

その他

  • 医師の治療を受けている人、妊婦または妊娠していると思われる人、高齢者、体の虚弱な人、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人などは、服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
  • 服用後、症状が悪化した場合や、1ヶ月程度服用しても症状の改善が見られない場合は、服用を中止し、医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
  • 小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
  • 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
  • 小児の手の届かない所に保管してください。
  • 他の容器に入れ替えないでください(誤用の原因になったり品質が変わったりします)。
  • 使用期限を過ぎた製品は服用しないでください。

注意事項

この情報は胃苓湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。

必ず医師、薬剤師または登録販売者の指示に従って服用してください。

より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。