苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)について
苓甘姜味辛夏仁湯は、漢方処方の一つであり、比較的体力がなく、冷え性で、咳や痰、鼻水などの呼吸器系の症状を伴う方に用いられることがあります。体力中等度以下で、冷えがあり、咳嗽、喀痰、鼻汁、咽喉の乾燥感があるものの諸症に適応があるとされています。
主成分
苓甘姜味辛夏仁湯は、以下の生薬から構成されています。
- 茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥させたもの。利水作用、鎮静作用などがあるとされます。
- 甘草(カンゾウ): マメ科のGlycyrrhiza uralensis FischerまたはGlycyrrhiza glabra L.の根およびストロンを乾燥させたもの。鎮痛、抗炎症、去痰、鎮咳作用などがあるとされます。
- 乾姜(カンキョウ): ショウガ科のショウガの根茎を湯通しして乾燥させたもの。体を温める作用、健胃作用などがあるとされます。
- 五味子(ゴミシ): マツブサ科のチョウセンゴミシまたはミヤマゴミシの果実を乾燥させたもの。鎮咳、鎮静、滋養強壮作用などがあるとされます。
- 細辛(サイシン): ウマノスズクサ科のウスバサイシンまたはマンシュウサイシンの根および根茎を乾燥させたもの。鎮痛、鎮咳、去痰作用などがあるとされます。
- 半夏(ハンゲ): サトイモ科のカラスビシャクのコルク層を除いた塊茎を乾燥させたもの。鎮吐、去痰、鎮咳作用などがあるとされます。
- 杏仁(キョウニン): バラ科のアンズまたは近縁植物の種子を乾燥させたもの。鎮咳、去痰、潤腸作用などがあるとされます。
これらの生薬が、それぞれの薬理作用を発揮し、複合的に効果をもたらすとされています。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
体力中等度以下で、冷えがあり、咳嗽、喀痰、鼻汁、咽喉の乾燥感があるものの次の諸症:
- 気管支炎
- 気管支喘息
- 鼻炎
比較的体力がなく、冷え性で、咳や痰、鼻水、喉の乾燥感といった呼吸器系の症状を伴う場合に用いられます。具体的には、気管支炎や気管支喘息、鼻炎などの症状に対して効果が期待されます。冷えがあることが使用の目安の一つとなります。
用法・用量
- 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤やエキス剤の場合、製品によって用法・用量が異なる場合がありますので、添付文書をよく確認してください。
- 生薬そのものを煎じて服用する場合も、医師または薬剤師の指示に従ってください。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が現れることがあります。
- 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
- 過敏症: 発疹、かゆみなど
甘草による偽アルドステロン症: 甘草を大量にまたは長期に服用した場合、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、脱力感などの偽アルドステロン症が現れることがあります。特に、他の甘草含有製剤との併用には注意が必要です。
その他: まれに、肝機能異常などが報告されることがあります。
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 漢方薬は、個人の体質や症状に合わせて処方されることが重要です。自己判断での服用は避け、必ず医師の診断に基づいて服用してください。
- 他の医薬品や健康食品との飲み合わせに注意が必要な場合がありますので、服用中の薬やサプリメントがある場合は、医師または薬剤師に必ず伝えてください。
- 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、服用前に医師に相談してください。
- 小児への投与は、医師の判断に基づいて慎重に行う必要があります。
- 服用しても症状の改善が見られない場合や、症状が悪化するような場合は、医師または薬剤師に相談してください。
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管し、小児の手の届かない所に保管してください。
- 開封後の保管には注意し、なるべく早めに服用してください。
注意事項
この情報は苓甘姜味辛夏仁湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
より詳しい情報が必要な場合は、医療機関を受診するか、製品の添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。