桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)について
桂枝茯苓丸加薏苡仁は、漢方処方の一つであり、比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまいなどを訴える方の、にきび、しみ、手足のあれ、月経不順、血の道症などに用いられます。桂枝茯苓丸に、利水・排膿作用を持つ薏苡仁(ヨクイニン)を加えることで、皮膚症状や関節の腫れ、痛みを伴う場合に、より効果を発揮するとされています。
主成分
桂枝茯苓丸加薏苡仁は、以下の生薬から構成されています。
- 桂皮(ケイヒ): 温性で、体を温め、血行を促進する作用があります。
- 茯苓(ブクリョウ): 微温性で、利水作用があり、体内の余分な水分を取り除くのを助けます。精神安定作用も期待されます。
- 牡丹皮(ボタンピ): 微寒性で、瘀血(おけつ:血の滞り)を改善し、炎症を鎮める作用があります。
- 桃仁(トウニン): 平性で、瘀血を改善し、便通を促す作用があります。
- 芍薬(シャクヤク): 微寒性で、鎮痛、鎮痙作用があり、筋肉の緊張を和らげます。
- 薏苡仁(ヨクイニン): 涼性で、利水作用、消炎作用、排膿作用があり、皮膚の角質化を改善する効果も期待されます。
分類
- 漢方製剤
効能・効果
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまいなどを訴えるものの次の諸症:
- にきび
- しみ
- 手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)
- 月経不順
- 血の道症
解説:
- にきび、しみ、手足のあれ: 瘀血や水分代謝の乱れが関与すると考えられる皮膚症状に対して、血行を促進し、水分代謝を改善する生薬と、炎症を抑え、排膿を促す薏苡仁の組み合わせにより効果を発揮します。
- 月経不順、血の道症: 女性ホルモンの変動に伴う精神不安や身体症状(めまい、頭痛、肩こりなど)に対して、血行を改善し、ホルモンバランスを整える作用のある生薬が用いられます。薏苡仁は、これらの症状に伴うむくみや関節痛などにも効果を示すことがあります。
- 血の道症: 月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだち、その他さまざまな神経症状を指します。
用法・用量
- 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
- 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
- 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
- 顆粒剤や錠剤など、剤形によって用法・用量が異なる場合がありますので、製品の指示に従ってください。
副作用
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状によっては下記のような副作用が現れることがあります。
- 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、軟便、下痢など。
- 過敏症: 発疹、かゆみなど。
まれにみられる重大な副作用:
- 肝機能障害: AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの上昇を伴う肝機能障害が現れることがあります。
- 偽アルドステロン症: 低カリウム血症、血圧上昇、むくみ、体重増加などの症状が現れることがあります。
- ミオパチー: 低カリウム血症の結果として、脱力感、筋肉痛などが現れることがあります。
上記のような症状が現れた場合には、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
その他
- 服用に際して:
- 定められた用法・用量を守ってください。
- 他の医薬品、特に利尿作用のある薬剤やカリウム製剤を服用している場合は、医師または薬剤師に相談してください。
- 妊娠または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性のある方は、事前に医師に相談してください。
- 小児への投与は、医師または薬剤師の指導のもとで行ってください。
- 本剤を服用しても症状の改善が見られない場合は、医師または薬剤師に相談してください。
- 保管及び取扱い上の注意:
- 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。
- 小児の手の届かない所に保管してください。
- 誤用を避け、品質を保持するため、他の容器に入れ替えないでください。
- 1包を分割した残りを服用する場合には、袋の口を二重に折り返して保管し、2日以内に服用してください。
- 使用期限を過ぎた製品は服用しないでください。
注意事項
- この情報は桂枝茯苓丸加薏苡仁の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。体質や症状によって効果や副作用の現れ方が異なる場合があります。
- 必ず医師または薬剤師の診断・指導のもとに服用してください。
- より詳しい情報や個別の注意点については、処方された医師または薬剤師にご確認ください。また、製品の添付文書をよくお読みください。