加味帰脾湯

加味帰脾湯について

加味帰脾湯(かみきひとう)は、漢方処方の一つであり、主に精神的な不安や不眠、食欲不振、疲労感などの改善に用いられます。体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがある方の神経症、不眠症、精神不安、神経過敏、貧血などに効果があるとされています。複数の生薬を組み合わせることで、心身のバランスを整え、穏やかな効果を発揮します。

主成分

加味帰脾湯は、以下の13種類の生薬から構成されています。各生薬がそれぞれの薬理作用を持ち、複合的に効果を発揮します。

  1. 当帰(トウキ): 血行を促進し、造血作用や鎮痛作用があるとされます。婦人科系の疾患や貧血などに用いられます。
  2. 白朮(ビャクジュツ): 胃腸の機能を整え、水分代謝を改善する作用があるとされます。食欲不振や下痢、むくみなどに用いられます。
  3. 茯苓(ブクリョウ): 利尿作用や精神安定作用があるとされ、不安や不眠、めまいなどに用いられます。
  4. 黄耆(オウギ): 免疫力を高め、疲労倦怠感を改善する作用があるとされます。虚弱体質や感染症予防などに用いられます。
  5. 酸棗仁(サンソウニン): 精神安定作用や催眠作用があるとされ、不眠や神経過敏などに用いられます。
  6. 竜眼肉(リュウガンニク): 滋養強壮作用や精神安定作用があるとされ、貧血や不眠、動悸などに用いられます。
  7. 遠志(オンジ): 鎮静作用や去痰作用があるとされ、不安や不眠、咳などに用いられます。
  8. 甘草(カンゾウ): 抗炎症作用や鎮痛作用、緩和作用などがあり、多くの漢方薬に配合されています。
  9. 木香(モッコウ): 胃腸の働きを整え、消化不良や食欲不振などに用いられます。
  10. 大棗(タイソウ): 緩和作用や滋養強壮作用があるとされ、精神安定や体力の回復に用いられます。
  11. 生姜(ショウキョウ): 健胃作用や体を温める作用があるとされ、吐き気や冷えなどに用いられます。
  12. 人参(ニンジン): 滋養強壮作用や免疫力向上作用があるとされ、疲労倦怠感や食欲不振などに用いられます。
  13. 柴胡(サイコ): 解熱作用や鎮痛作用、精神安定作用があるとされ、炎症や神経性の症状に用いられます。

分類

  • 漢方製剤

効能・効果

体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの次の諸症:

  • 神経症
  • 不眠症
  • 精神不安
  • 神経過敏
  • 貧血

用法・用量

  • 通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与します。
  • 年齢、体重、症状により適宜増減されます。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • 顆粒剤や煎じ薬など、剤形によって用法・用量が異なる場合があります。製品の指示に従ってください。

副作用

加味帰脾湯は比較的安全な漢方薬とされていますが、体質や症状によっては副作用が現れることがあります。主な副作用としては、以下のものが報告されています。

  • 消化器系: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
  • 皮膚: 発疹、かゆみなど
  • その他: まれに肝機能異常などが報告されることがあります。

重大な副作用としては、間質性肺炎(発熱、咳嗽、呼吸困難など)、偽アルドステロン症(低カリウム血症、血圧上昇、浮腫など)、ミオパチー(脱力感、筋肉痛など)、肝機能障害、黄疸などが報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

その他

  • 加味帰脾湯は、証(しょう)と呼ばれる患者さんの体質や症状に合わせて処方される漢方薬です。自己判断で使用せず、必ず医師または薬剤師の診断に基づいて服用してください。
  • 他の医薬品や漢方薬と併用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。
  • 妊娠中または授乳中の方、あるいは妊娠している可能性がある方は、服用前に医師に相談してください。
  • 小児への投与については、医師または薬剤師の指示に従ってください。
  • 服用しても症状の改善が見られない場合は、医師または薬剤師に相談してください。

注意事項

  • この情報は加味帰脾湯の一般的な情報であり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
  • 必ず医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
  • より詳しい情報が必要な場合は、添付文書をご確認いただくか、医師または薬剤師にご相談ください。