歩くことで全身運動

中年になって運動不足を続けていると、骨や関節が衰えてきます。よく歩くと、関節や骨に負荷が加わり、老化予防の効果も得られます。

人間の骨は、年をとるにつれて骨の中のカルシウムがだんだん脱落し、軽くなるとともに脆くなってきます。ちょうど、大根に「す」が入った状態に似て、骨がスカスカになった状態が骨粗鬆症です。こんな状態になると、転倒した時に骨折事故を起こすようになります。また、筋肉も衰えてきますので、筋肉に支えられている関節も弱くなってきます。

宇宙飛行士が何日間か無重力状態の中で生活しただけで骨粗鬆症が始まった、という報告もあります。宇宙船の中では重力がかからないので、骨・関節に負荷がかからず、使わないでいることで起きる萎縮(不用性の萎縮)が起きたのです。

骨や関節の老化を防ぐには、運動により重力の負荷をかけ、骨や筋肉を鍛え続ける必要があります。

また、骨を形づくる大切な成分のカルシウムを十分に補給し、日光にあたるようにしましょう。日光を適度に浴びることは、皮膚の下にある、カルシウムの運び屋のビタミンDを増やす効果があります。

カルシウムの補給には小魚類を骨ごと食べるのがおすすめです。煮干しを丸ごと食べると、骨に含まれるカルシウムとはらわたにあるビタミンDを一緒に食べることができます。緑黄色野菜も欠かせません。

ビタミンDが豊富な食べ物は干し椎茸です。干し椎茸を太陽の光にあてると良いといわれるのは、椎茸に含まれているエルゴステロールという成分が、紫外線の働きでビタミンDに変わるからです。

年をとるにつれて骨や関節が衰えてくるのは仕方のないことですが、運動や食事の工夫によって、衰える速度を遅くすることができます。

私たちの体は、毎日使っていればなかなか衰えず、いつまでも使えるものです。運動しない30代の女性よりも運動している50代の女性の骨密度が高いという報告があります。骨や関節をよく使い、機能の衰えを防ぐようにしたいものです。

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