加齢と大人ニキビのギャップ

肌は約28日間の周期で生まれ変わっています(ターンオーバー)。基底層から押し上げられた皮膚細胞は、最終的に肌のいちばん表面の角層に到達し、垢となって、自然に剥がれ落ちるのです。ところが、加齢とともにこのスピードは遅くなっていき、垢となるべき角質がなかなか消えなかったりするのはこのためです。

また、加齢とともに皮脂の分泌量は減少し、肌の水分保持力も低下します。ところが、大人ニキビはそうした肌の生理にはおかまいなしに、30代でも40代でもできるのです。でも、ひどいニキビができたからといって、もともとの肌質が変わったわけでも、肌年齢が逆行しているのでもありません。肌のニキビができた部位だけが機能に異常をきたし、皮脂分泌が過剰な状態になっているということです。

大人ニキビは、思春期にできるニキビとは違う厄介さがあります。大人ニキビは本人自身やとりまく環境が原因を作っているケースが多いので、治すためには、自分の生活や心身の状態を振り返ることからはじめなければなりません。それまでのスキンケア法の見直しも然りです。

加齢や女性周期、季節などによる肌の変化に応じて手入れをしていましたか?

ニキビの治療中は医師の指示に従い、ニキビが治まってからは年齢相応の、肌質に応じたケアを心がけましょう。ただ、毛穴の出口の厚くなった角質や、色素沈着が残りそうなニキビ跡に関しては、より積極的なケアが必要です。また、肌のはりのもとである弾力繊維も年齢とともに徐々に減少するため、肌にへこみができるほどダメージを受けてしまった場合は、皮膚科で理学療法を受けるという選択肢もあります。

上り坂途中である思春期の肌と違い、下り坂にさしかかっている大人の肌は、ニキビができたあとはより慎重に、よりきめ細かく対処しないと「きれい」を取り戻せません。

ニキビを剥がしとってもきれいな肌は出てこない

ニキビができている部分には触らないのが鉄則です。頭ではわかっているのに、気が付くとついついニキビをひっかいていたという経験はないでしょうか。おそらく、もりあがったニキビから早く芯を出して、もとの平できれいな肌に戻したいという無意識の行為。でも、無理に爪で強くひっかかれたニキビは、赤黒い色素沈着やクレーター状のへこみを残してしまう可能性が高まります。

治りかけのニキビも同様です。ニキビの面影を残した角質が自然に剥がれ落ちるのを待てずに、スクラブなどでゴシゴシ乱暴に剥がしとろうとしないこと。完全に治った状態でないうちは、強い刺激は厳禁です。せっかく治りかけたニキビが再び悪化してしまう場合もあります。

ふだんのスキンケアでも、磨けば磨くほどきれいになるという誤解から、肌を必要以上にどんどんはがしとって、未成熟な表皮細胞を増やしてしまっている人がいます。未成熟であるがゆえに免疫力がなく、刺激に敏感。こんな弱い肌は、さまざまなトラブルを引き寄せることになり、「きれい」からは逆に遠ざかってしまいます。

古い角質だけが剥がれ落ちるケア法

ニキビができた部分の角質は厚くなっています。炎症が治まり、盛り上がりが平らになり、完治した状態でも、やはり肌にはゴワついた感じが残っています。これを解消する方法として、ピーリング効果のある化粧品の使用があげられます。

スクラブのように物理的刺激ではがす方法もありますが、ピーリングは科学的な作用で古い角質を剥がします。成分はAHA(アルファヒドロキシ酸)やサリチル酸グリコール酸など様々ですが、化粧品に配合されている程度の濃度なら強力過ぎず、比較的穏やかに角質を剥がしてくれるはずです。ただし、ピーリング用のグリコール酸などは、本来つけたあと洗い流すタイプなので、そのままパッチテストをおこなうのは非常に危険。化粧水や美容液に配合されているものなら、事前に試供品で試してみて、赤みや痒みが感じられないものを選びましょう。

ピーリングは厚くなった角質をはがすと同時に、毛包の奥の老廃物や皮脂もとりのぞいて毛穴を引き締めてくれます。

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