認知症にみられる様々な周辺症状

対応が難しい周辺症状

認知症介護を進めるうえで対応が難しい周辺症状には、妄想や幻覚、不眠、暴力行為、徘徊、不穏などがあります。尿・便失禁も介護する家族にとって負担の大きい症状のひとつです。

一方、比較的対応しやすいものとして、自発性の低下や意欲の減退、同じことを何回も聞いてくる、不安症状などがあります。

いずれのタイプの周辺症状であっても非薬物療法(上手な介護あるいは適切な対応、患者さんを囲む環境の整備など)が主体になりますが、非薬物療法だけではなかなか周辺症状を軽減させることが困難な場合も少なくありません。適宜薬物療法を併用しながら、周辺症状の軽減をはかっていくことになります。

気長に介護することが大切

周辺症状は、認知症状の重症度に関係なく現れてきます。認知症が軽いから周辺症状がみられない、高度だからみられるというわけではありません。患者さんによっては、軽度の時期から徘徊や物盗られ妄想がみられることがあります。一方、認知症が高度になっても周辺症状がまったくみられない患者さんもいます。

周辺症状は永久に続くわけではありません。ある周辺症状が数年みられた後、その症状は軽減・消失し、別の周辺症状がみられることがあります。現在、困っている周辺症状は永久に続くわけではないことを介護する家族は理解して、気長に介護していくことが大切です。

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