レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症の特徴

レビー小体型認知症(DLB)は、神経細胞内にレビー小体という物質が沈着することから認知症を生じるものです。DLBでは、動揺する認知症と幻視、パーキンソン症状が主な症状です。これらのうち2つの症状がみられるとき、DLBの可能性が高くなります。

認知症状では、物忘れや日時がわからない、迷子になるなど、アルツハイマー病と似た症状ですが、日によって症状に変動があることが特徴です。前日はとても調子がよかったのに今日はとんちんかんな話が多いというように、同じ薬を飲んでいるにもかかわらず、日によって症状に大きなちがいがみられます。また、起床時には話が噛み合わないのに、昼ごろになると話がスムーズに通じるなど、症状が1日の中でも著明に変動します。

幻視は、具体的で生き生きとした内容のものが反復してみられることが特徴です。典型的な幻視は、人や動物が家の中に入ってくる、あるいは存在すると訴えるものです。たとえば、「赤い着物姿の見知らぬ人が布団の上に座っている」「たくさんの人が提灯を持ち歩いている」「カーテンの後ろにヘビが隠れている」などです。

多くの場合、患者さんは不安感や恐怖感を感じており、家族にそれらを訴えることが多いようです。幻視以外では、吊るされている洋服を実際の人物を錯覚する錯視や夫の顔を別人と見間違える人物誤認などがみられることもあります。

動作が緩慢、筋肉がこわばる、歩行が困難、転びやすいなどのパーキンソン症状がしばしばみられますが、手足に振戦(律動的なふるえ)がみられることが多いパーキンソン病とちがって、DLBではこの振戦がみられることは少ないようです。

レビー小体型認知症の治療法

アルツハイマー病と診断されている患者さんの中で、日によって症状に著しい変動があらわれる、幻視が目立つ、歩行障害や転びやすいなどの症状が目立つ場合、DLBの患者さんをアルツハイマー病と誤っている可能性が考えられます。このようなときには、一度、認知症専門医を受診されることをお勧めします。

DLBでは、幻視や妄想などの精神症状の治療に使用される薬剤に過敏性を示すことがあります。これらの薬剤を安易に使用すると、症状がさらに悪くなったり、最悪の場合死亡することがあるといわれています。

DLBでは、抗認知症薬塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)がアルツハイマー病以上に効果があるといわれています。

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