認知症が日常生活に支障をきたす

実行機能障害とは?

認知症介護を進めるうえでは、周辺症状の他に実行機能障害が問題になることが多くあります。

実行機能とは、目標を定め、その実現のために計画を立てて必要な行動を適切に行う機能を指します。

たとえば、料理をすることを考えてみましょう。料理という実行機能は、

  1. 献立を考える
  2. 料理に必要な食材を考え選択する
  3. 必要な食材を買う
  4. 実際に調理する(煮る、焼くなどの適切な遂行)
  5. 味付けをする
  6. 盛り付けを行う

など、多くの段階を経ています。

洗濯機や電子レンジを使用する、電車やバスの切符を目的地まで買う、銀行でお金を下ろすなどの行動も同様の実行機能です。

実行機能障害は認知症の本質

認知症になると、今まで容易にできていた実行機能に大きな障害が出てきます。

適切な料理をできない使い慣れた洗濯機や電子レンジの使い方がわからない、銀行で預金の仕方が分からなくなるなど、いろいろな場面で独力で日常生活を行うことが困難になってきます。

認知症に進展したとき、実際に困るのはこの実行機能障害なのです。

私たちは、今日は何日なのか、何曜日なのかがわからなくてもなんとか生活をしていくことは可能です。

しかし、日常生活で衣服を着替える、歯磨きをする、顔を洗うなどの行為ができないと、生活にすぐ支障をきたすことは明らかです。

認知症は、私たちが今まで意識すること無く行ってきた日常生活が少しずつ出来なくなってくる状態を指します。

この実行機能障害が認知症の本質といえるかもしれません。

実行機能障害へのサポート

認知症に進展した患者さんと生活をしていく際、介護する家族が心がけることは、この実行機能障害をどのように支援していくかです。

患者さんができなくなったこと、自信がなくなってきたことをどのように援助し介護を行っていくのか、日常生活をスムーズに送れるよう生活環境の整備をどのようにしていくのかが、認知症介護を進めるうえで大切なポイントになります。

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