認知症予防における食事・栄養の重要性

野菜や果物、魚をよく食べると認知症予防になる

高齢者で認知機能が低下してくる群では、低下していない群に比べてビタミンBやビタミンC、ビタミンEの摂取が少ない、ミネラルの摂取が少ない、コレステロールなどの脂質の摂取が多いことが明らかになってきています。このうちビタミンEがアルツハイマー病の予防効果があるか否かははっきりしていませんが、ビタミンEやイチョウ葉エキスがアルツハイマー病の進行を抑制するとした報告はいくつかみられています。

つまり、野菜や果物をよく食べることがアルツハイマー病の予防につながる可能性が高いのです。

また、魚の摂取がアルツハイマー病の発症を予防するとの報告があります。魚を1日1回食べる人に比べて、週1回しか食べない人はアルツハイマー病を発症する危険性が1.6倍高まることがわかりました。さらに、魚をまったく食べない人では危険性が5倍以上にもなっています。

日常生活で心がけること

体重を一定にする

高齢期における体重減少や増加、肥満は認知機能の低下と関連していることが明らかになってきています。高齢になっても体重を一定にすることが、認知症予防に望ましいことなのです。

定期的な運動

定期的な運動、たとえばジョギングや水泳などを行うことは大切ですが、日常生活の中で手間のかかる運動は容易にできないと思います。自動車を利用する回数を減らして歩く、エレベータの使用を避けて階段を利用するなど、身近なことから体を動かすとよいでしょう。

バランスのとれた食事を心がける

日本人のアルツハイマー病では、発症前に偏食や少食を示す人が多く、また、魚や緑黄色野菜、ビタミンB群、ミネラルなどの摂取が低いことも発症に関係するといわれています。これらの栄養素をバランスよく摂取することが認知症の予防に役立ちます。

禁煙

喫煙がアルツハイマー病発症に対して抑制的な働きをもつと信じられていた時期もありましたが、最近では、認知症の危険性を増加させる可能性が指摘されています。そのため禁煙が必要です。

過剰な飲酒をしない

飲酒と認知症の間に明白な関連があるというデータはないようですが、過剰飲酒は、アルコール性認知症を引き起こす可能性が高いことから、適切な飲酒量にとどめたほうがよいでしょう。

よく噛んで食べる

食事の際に食物をよく噛むことが脳の働きを活発にするといわれています。そのためには、歯の手入れが大切です。