アルツハイマー病患者さんへの対応の注意点

アルツハイマー病患者さんと接するときに気をつけるべきこと

自分が病気になっていることを理解していない、深刻に考えていない

アルツハイマー患者さんは、自分が病気になっていることを理解していない、あるいは深刻に考えていないことが多いものです。その点について、介護する家族や周囲の人たちが認識することが大切です。自分は病気ではないと考えている患者さんに対して、病気か否かを説明する、誤った行動を直すように説得するといった接し方は適切ではありません。

取り繕いがうまい、外面がよい

患者さんが他人と接する際、普段家族と接するときにみられるとんちんかんな行動や言動とは異なり、上手に対応している場面をしばしば経験します。事情を知らない他人は、「どこが病気なの?」と疑問を持つことさえあります。アルツハイマー病では、取り繕いがうまい、外面がよいことが特徴のひとつです。外面がよいことを利用して、デイサービスなど他人が大勢いる介護施設のりようを勧めるとよいでしょう。自宅ではすぐ怒り出す患者さんが、施設では愛想のよい人として他の利用者や介護スタッフから親しまれていることも多いようです。

些細なことで怒る

怒りっぽいこともアルツハイマー病の特徴のひとつです。アルツハイマー病患者さんと接するとき、必要以上に叱る、注意する、指導するなどの接し方をすると、患者さんは怒りだすことが多いのです。患者さんの不適切な行動や言動に対して家族がいらいらする気持ちをもつことは理解できますが、だからといって患者さんを叱っても何の効果もありません。むしろ患者さんの感情が不安定になり、その後の介護に支障をきたします。

ひとつのことに関心をもつと注意を他に向けない、こだわりが多い

患者さんは、注意を他に変換することが苦手です。ひとつのことが気にかかると、そのことばかりが気になって仕方がないのです。今日が何曜日なのか気になると、曜日を何回も家族に聞いてきます。他に関心を向けることができないからです。

ひとつのことにこだわる患者さんには、好きなようにさせることも選択肢のひとつです。こだわりによって困る時には、患者さんの関心を別に向けるように対応するとよいでしょう。そうすると直前までこだわっていたことを忘れてしまうことが多いのです。

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