介護保険を理解する(その2)

介護度の判定

介護認定の申請は、住民票のある市区町村の介護保険担当の窓口か地域包括支援センターで行います。申請が受理されると、市区町村の職員あるいは市区町村から委託された調査員が患者さん宅を訪問し、本人と家族から心身の状況についての聞き取り調査が行われます(訪問調査)。同時に診療している医師から主治医意見書と呼ばれる診断書が提出され、両者を参考にして介護認定審査会で審査が行われて介護度が判定されます。

介護度の判定には、主治医意見書よりも調査員による訪問調査の結果が重要視されているようです。認知症患者さんは、自分が病気になっているという認識(医学的には病識と呼ばれます)に欠けるあるいは乏しいことが多いのです。そのため、調査員が来訪した際、「日常生活で困ることはない」「何でも自分でできる」と答えることがしばしばあります(実際には入浴しない、料理ができないなど多くのことで困っているのですが・・・)。

患者さんの述べる内容が事実に反する場合、家族が実情をしっかり調査員に話すことを忘れないようにしてください。そうしないと実情に合わない介護度を認定されるおそれがあります。

認定の有効期限は、初回認定の場合には6ヶ月です。その後は、おおむね1年間ずつ有効期限が定められることが多いようです。たとえば、要介護1と認定されている患者さんが、脳梗塞などによって日常生活上の介護量が増えたとき、要介護2以上にしてもらうために介護認定の変更申請を行うことができるのです。

介護認定後に受けることができる主な介護サービス

主な介護サービスとして

  1. 自宅で受けられるサービス
  2. 通所で利用できるサービス
  3. 短期あるいは長期の施設入所

の3つに分けられます。在宅での生活を継続するためには、①と②のサービスを主に利用しながら適宜短期入所(いわゆるショートステイ)を用いるのが一般的な方法だと思います。施設入所あるいは入所型サービスにはいくつかの施設があるので、患者さんの状況や経済的な問題などを考慮しながら施設を検討することが大切です。

患者さんの示す認知症の状態にもよりますが、公的介護サービスを十分活用するためには要介護1以上の認定が望ましいと思います。アルツハイマー病では、首から下の症状がみられないことが多いので、介護認定が実情よりも軽度に見誤られる場合が少なくありません。患者さんの状況や介護する家族の都合から週4回前後はデイサービスを利用したいと思う患者さんでも、要介護1と認定され週2回しか介護保険内でのりようができない場合もしばしば経験します。

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