脳血管性認知症患者さんへの対応の注意点

脳血管性認知症患者さんと接するときに気をつけること

適切なアドバイス、手助けをする

脳血管性認知症と診断された患者さんは、軽度の段階から日常生活上の実行機能で障害が目立つことが多くあります。衣服の着方がわからない、バスや電車に乗る際に切符の買い方がわからないなど生活上で困ることがたくさんみられます。

したがって、介護する家族や周囲の人達は、患者さんができなくなてきたことを支援する姿勢が求められます。衣服を着る際、着方をアドバイスするあるいは手伝ってあげるなどの介護が必要になります。

必要な行動を開始するまで待ってあげる

脳血管性認知症では、思考や行動が緩慢になることが多くあります。そのため、自分の意見を述べるまであるいは必要な行動を開始するまで時間がかかります。

介護する家族は、焦らずじっくり患者さんの言動や行動を待ってあげてください。少し待ってあげると、患者さんがいろいろなことができることに気付くはずです。

周囲の人々が積極的な働きかけを行う、冷静に対応する

脳血管性認知症では自発性の低下や意欲の減退がみられ、自分から何もせず、1日中ぼーっとしている患者さんも少なくありません。今まで親しんできた趣味に関心をまったく示さないこともあります。介護する家族は、患者さんの関心や興味を上手に引き出すよう積極的なはたらきかけを行うことが必要です。

また、しばしば感情が不安定になることから、感情の起伏が激しいことも、この病気の特徴のひとつです。患者さんが突然怒りだしたり、泣き始めたりする場面に出会うこともあります。介護する家族は、感情の起伏が目立つことを十分理解したうえで冷静な対応を心がけます。

薬剤の管理をきちんとする

脳血管性認知症の患者さんは、背景に高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病をもつ場合が多いので、治療薬を多数服薬していると思います。脳血管性認知症の進行・悪化を防ぐ最大の対策は、脳血管障害の再発を予防することです。薬剤の管理を家族がきちんと行うことで脳血管障害の再発を予防したいものです。

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