不眠の患者さんにはどのような薬が有効か?

認知症患者さんに適した睡眠薬

認知症患者さんでは、しばしば夜間寝ない、騒ぐ、夜中覚醒して家族を起こして回る、夕方から夜にかけて落ち着かないなどの症状がみられます。介護する家族は、「夜、おとなしく寝て欲しい」と考えて、睡眠薬の処方を希望されることが多いと思います。

睡眠薬は、作用時間の長短から、

  1. 超短時間作用型
  2. 短時間作用型
  3. 中間作用型
  4. 長時間作用型

の4つのタイプに別れます。認知症患者さんは高齢の方が多いので、基本的には作用時間の短い超短時間作用型あるいは短時間作用型の睡眠薬を使用するのがよいと思います。

具体的には、筋弛緩作用が弱く高齢者にも使用しやすいゾルピデム(商品名:マイスリー)やゾピクロン(商品名:アモバン)、ブロチゾラム(商品名:レンドルミン)などが使用されます。

睡眠薬使用時の注意点

睡眠薬は、筋肉の弛緩作用を通じて睡眠を促進する効果を示します。不用意に睡眠薬を使用し中途半端に効果を示している場合、夜間トイレに行こうとしてふらついたり、点灯する危険性が考えられます。そのため、睡眠薬使用に際しては、十分な注意が必要になってきます。

夜間不穏が強い患者さんでは、通常の睡眠薬で効果が考えられない場合がしばしばあります。その際には、鎮静効果の強い抗うつ薬や抗精神病薬の使用を考慮することになります。

なお、睡眠薬を服用すると、副作用として記憶障害(前方向性健忘)が起こる場合があります。この副作用がみられると認知症と間違えられることがあるため、注意が必要です。

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