骨粗しょう症の症状

骨粗しょう症の症状

骨粗しょう症は簡単に言うと「骨のカルシウム量(骨量)が減り、骨がスカスカになってもろくなる病気」であることは知られるようになりました。

ところが、ほとんどの人は自分とは無関係な病気と思っているのが現状です。

とくに若い女性ほど無関心で、骨に必要なカルシウム摂取に適した小魚、野菜類が嫌いな人が増え、いちばんカルシウムの吸収がよい牛乳もまったく飲まない人が増えているそうです。

それは、骨がスカスカになってもろくなると、どんなやっかいなことがおこるのか知らないためと思われます。

骨は硬いもので新陳代謝がおこらないと思いがちですが、じつはからだのなかで古い骨は壊され、新しい骨がつくられています。

1年間で20〜30%も入かわっていますが、壊される骨の量のほうがつくられる骨の量よりも多くなった状態が続くと骨粗しょう症に進んでしまいます。

そうしたことはふつう50代の更年期以降におこりますが、若い時代にしっかりカルシウムをとっていないと、それ以下の年代でも骨折したり腰痛に悩まされるようになってしまいます。

骨粗しょう症の人の骨は弱く、もろくなり、自分の体重にも耐えられなくなって最初に影響を受けるのは背骨です。

ふつう骨折というと、ポキンと骨が折れて骨が曲がったり、骨と骨が離れた状態を思い浮かべますが、

背骨では、背骨を構成している椎骨(ついこつ)内部の微小な骨がときれるなどして弱くなり、椎骨が押しつぶされてしまいます。

これを圧迫骨折と呼びますが、初期にはほとんど何の症状もないまま、からだの重みによってじょじょに骨折が進行していきます。

やがて、椎骨がつぶれたため周囲の靭帯(じんたい)や筋肉に負担がかかったり、骨のなかや周辺に走る神経を刺激するために、痛みを自覚するようになります。

複数の圧迫骨折が生じると痛みのために歩くことも起き上がることもつらく、日常生活の活動度(ADL)が妨げられ、とても不便で不安も強く、生活の質(QOL)も低下することが多くなってしまいます。

活動度が低いために運動も制限され、ますます骨粗しょう症が進行する悪循環に陥ります。

背骨の脊椎の圧迫骨折によって、背中がまるくなり、そのことで胸やおなかが圧迫されて、呼吸器や消化器の機能異常が生じたりすることもあります。

ひどいケースでは、肺が圧迫されすぐ息切れしたり呼吸困難がおきやすい人もいます。

お腹の症状としては、食事量が極端に制限されたり、せっかく食べたものが胃酸とともに食道に逆流して食道炎がおき、つらい胸焼けがおこることがあります。

腸の運動も低下し、便秘がおこったり腸のガスが過剰になるなど、様々な障害をまねきます。

加齢とともに誰でも骨量が減る

骨密度、骨量は思春期から20歳くらいまでに最大値になり、その後40歳くらいまで最大値が保たれ、40歳位を境に減少に転じます。

つまり、加齢による骨量減少は避けられるものではなく、誰にでもおこることなのです。

ただ、骨量最大値にも骨量減少スピードにも個人差があり、それは複数の遺伝的素因と環境因子によって規定されています。

このため骨粗しょう症は「多因子遺伝病」の一つとして捉えることもできるのです。

最近では、骨量の決定における遺伝の関与は決定因子全体の半分あるいはそれ以上ではないかと考えられるようになって、その解明が待たれています。

つまり骨粗しょう症は複数の骨代謝遺伝子が様々な環境因子(生活習慣因子)の影響を受けて重なり合って発症するのであり、閉経後の骨量減少と高齢期の骨量減少などが、発症に重要な役割を果たしているのです。

なりやすい人となりにくい人がいる

骨量減少は誰にでもおこる避けられないものなのですが、その中でも個人差があり、骨粗しょう症になりやすい人と、なりにくい人がいます。

骨粗しょう症の原因として次のような危険因子が知られています。

  1. 加齢・・・高齢になると、骨芽細胞(こつがさいぼう)のはたらきが衰え、骨をつくる力が弱くなるだけでなく、胃腸での消化・吸収力も低下し、カルシウムを取り込む量が減ります。
  2. 閉経・・・閉経や、なにか原因があって早く生理がなくなってしまったり、病気で卵巣をとった人は女性ホルモンの分泌が減ってしまいます。
  3. 運動不足・・・小さい頃から運動嫌いで、あまり身体を動かさない人は骨にかかる負荷が少なく、カルシウム量が増えません。
  4. カルシウム不足・・・カルシウムを豊富に含んだ食べ物をコンスタントに食べる習慣がないとカルシウム不足になってしまいます。
  5. リンの摂り過ぎ・・・添加物の多い食品や清涼飲料水の摂り過ぎは危険因子になります。
  6. 食塩の摂り過ぎ・・・食塩の摂り過ぎは血圧を上げるだけでなく、カルシウムを尿中に追い出してしまいます。
  7. 過度の喫煙や飲酒、カフェインの摂り過ぎ・・・他の生活習慣病につながるものは骨にもよくありません。
  8. 胃切除後など消化器系の問題・・・胃腸の病気や、胃腸をとった人では、胃腸の消化・吸収が悪く、カルシウムを十分に取り込めません。
  9. 家族歴・・・家族に骨粗しょう症の人がいるなど、遺伝的な体質がある人は骨粗しょう症になりやすいことがわかっています。

骨粗しょう症に効く食べ物

以下は、骨粗しょう症の予防や管理に役立つ食品の表です。これらの食品に含まれる栄養素や成分は、骨の健康を維持し、骨粗しょう症のリスクを低減するのに役立ちます。

食品含まれる栄養素や成分
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)カルシウム、ビタミンD
魚(サーモン、マス、サバ)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD
豆類(大豆、豆腐、豆乳)カルシウム、タンパク質、イソフラボン
葉野菜(ほうれん草、小松菜、ケール)カルシウム、ビタミンK、マグネシウム
ナッツ(アーモンド、くるみ、カシューナッツ)カルシウム、マグネシウム、ビタミンE
キノコ(しいたけ、まいたけ、エリンギ)ビタミンD
鶏肉や牛肉タンパク質、亜鉛、リン
タンパク質、ビタミンD
オートミールや全粒穀物カルシウム、マグネシウム、食物繊維

これらの食品をバランスよく摂取することで、骨粗しょう症のリスクを低減し、骨の健康を促進することができます。ただし、個々の栄養ニーズや健康状態に応じて、食事内容を調整することが重要です。また、医師や栄養士との相談も大切です。