骨粗しょう症の原因

加齢とともに誰でも骨量が減る

骨密度、骨量は思春期から20歳くらいまでに最大値になり、その後40歳くらいまで最大値が保たれ、40歳位を境に減少に転じます。つまり、加齢による骨量減少は避けられるものではなく、誰にでもおこることなのです。

ただ、骨量最大値にも骨量減少スピードにも個人差があり、それは複数の遺伝的素因と環境因子によって規定されています。このため骨粗しょう症は「多因子遺伝病」の一つとして捉えることもできるのです。最近では、骨量の決定における遺伝の関与は決定因子全体の半分あるいはそれ以上ではないかと考えられるようになって、その解明が待たれています。つまり骨粗しょう症は複数の骨代謝遺伝子が様々な環境因子(生活習慣因子)の影響を受けて重なり合って発症するのであり、閉経後の骨量減少と高齢期の骨量減少などが、発症に重要な役割を果たしているのです。

なりやすい人となりにくい人がいる

骨量減少は誰にでもおこる避けられないものなのですが、その中でも個人差があり、骨粗しょう症になりやすい人と、なりにくい人がいます。

骨粗しょう症の原因として次のような危険因子が知られています。

  1. 加齢・・・高齢になると、骨芽細胞(こつがさいぼう)のはたらきが衰え、骨をつくる力が弱くなるだけでなく、胃腸での消化・吸収力も低下し、カルシウムを取り込む量が減ります。
  2. 閉経・・・閉経や、なにか原因があって早く生理がなくなってしまったり、病気で卵巣をとった人は女性ホルモンの分泌が減ってしまいます。
  3. 運動不足・・・小さい頃から運動嫌いで、あまり身体を動かさない人は骨にかかる負荷が少なく、カルシウム量が増えません。
  4. カルシウム不足・・・カルシウムを豊富に含んだ食べ物をコンスタントに食べる習慣がないとカルシウム不足になってしまいます。
  5. リンの摂り過ぎ・・・添加物の多い食品や清涼飲料水の摂り過ぎは危険因子になります。
  6. 食塩の摂り過ぎ・・・食塩の摂り過ぎは血圧を上げるだけでなく、カルシウムを尿中に追い出してしまいます。
  7. 過度の喫煙や飲酒、カフェインの摂り過ぎ・・・他の生活習慣病につながるものは骨にもよくありません。
  8. 胃切除後など消化器系の問題・・・胃腸の病気や、胃腸をとった人では、胃腸の消化・吸収が悪く、カルシウムを十分に取り込めません。
  9. 家族歴・・・家族に骨粗しょう症の人がいるなど、遺伝的な体質がある人は骨粗しょう症になりやすいことがわかっています。

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