糖尿病性腎症の症状とは?

腎臓のろ過機能が壊れる病気

腎臓には体内の余分な老廃物や塩分を一旦ろ過し、老廃物は尿として排泄し、アミノ酸などの必要な成分を再び血液に戻す役割があります。

このろ過や排泄や再吸収を行っているのは、腎臓の中にある糸球体です。糸球体というのは字の通り、毛細血管がボール状に集まってできる毛糸玉のような部位です。腎臓の中に糸球体は100万個以上存在しており、毎日私たちの血液をろ過してくれています。

しかし、糖尿病にかかってしまい高血糖の状態が長く続くと、腎臓のろ過機能が正常に動かなくなり老廃物が体内に蓄積したり、普段は糸球体を通過できないタンパク質や赤血球や白血球などが通過してしまい尿と一緒に排泄されてしまい尿蛋白や倦怠感の原因になります。さらに症状が進行すると、糸球体のろ過機能は完全に消滅してしまいます。

糖尿病による腎臓の悪化は5段階

糖尿病性腎症は高血糖が原因で起こるのですが病気の進行度で5つに分類されています。

初期段階ではほとんど自覚症状がないので、糖尿病と診断された人は最初に尿蛋白検査などの腎臓機能の検査を受ける必要があります。

第1期から第2期の段階では尿の中のタンパク質が多くないので尿蛋白検査ではなく尿中微量アルブミン検査で尿中の微量のタンパク質を調べます。この段階で病気が発見できれば治療によって回復する場合があります。

しかし、それ以上に進行して第3期以降になると、腎臓のろ過機能がどんどん低下してしまい、高血圧や足のむくみといった自覚症状が現れ始めます。さらに症状が進行して第5期になると、腎臓はまったく機能しなくなっており、いわゆる腎不全になります。

腎不全になると、全身がむくんだり、慢性的な倦怠感やめまいなどの自覚症状が現れてきます。ここまで症状が悪化してしまうと人工透析による治療が必要になります。

腎臓病はある程度進行してしまうと、元の健康な腎臓に戻すことができません。早い段階で治療をするためにも定期的な検査が必要です。

糖尿病性腎症の進行

第1期 腎症前期 アルブミン尿が正常基準値の範囲内。治療により腎症への進行を止めることも可能。
第2期 腎症期 アルブミン尿が微量出る第2期。
第3期 腎症期 アルブミン尿、たんぱく尿ともに陽性の第3期。腎症の初期は自覚症状がなく、徐々に足のむくみ、全身のむくみがでる。
第4期 腎不全期 腎機能がほとんど働かなくなり、体内に老廃物がたまって尿毒症を起こすこともある。
第5期 人工透析・腎移植 定期的な人工透析で体内にたまった老廃物を除去する治療や腎移植が必要になる。