三大合併症だけではない糖尿病の合併症

動脈硬化

動脈硬化は動脈血管の内壁にプラークというコレステロールや脂肪のかたまりが出来て、血管の内径が細くなり血液の通りが悪くなる状態をいいます。動脈硬化が進行すると、プラークで血管が塞がってしまったり、またプラークが破れてできた血栓が脳などに流れて行き、細い血管の中をつまらせてしまい、心筋梗塞脳梗塞を引き起こす原因になります。

糖尿病患者の人は動脈硬化にかかりやすく、悪化するスピードも早いということが知られています。また、糖尿病の人は、健康な人と比べると、脳卒中になる確率は3倍も高いということがわかっています。動脈硬化は糖尿病の初期段階でも発症するので、血糖コントロールをしっかり行いつつ、動脈硬化予防も同時に行う必要があります。

高血糖以外に、動脈硬化を促進させる危険要因として、高血圧、脂質異常症、禁煙などがあげられます。食事面ではコレステロールを上げる動物性脂肪や血圧を上げる塩分の過剰摂取に注意をし、禁煙やストレス、疲労などの危険因子をできるだけ避けるように心がけます。

歯周病

歯周病は歯と歯のまわりの組織に歯周病菌が感染する病気です。歯周病になると、歯肉(歯茎)に炎症があわれ、腫れたり出血などの症状が出て、歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)が深くなり、やがて歯を支えている歯槽骨が歯周病菌によって破壊され最後には歯が抜け落ちてしまいます。

糖尿病の人は歯周病になりやすく、重症化しやすい傾向があります。歯周病菌があると血糖コントロールを妨げる場合もあります。逆に歯周病を治療することで血糖コントロールが改善する例も報告されています。

認知症

糖尿病の人が加齢によって脳血管性の認知症やアルツハイマー型認知症になる確率は健康な人の2倍から4倍といわれています。認知症になると、自分自身で血糖コントロールを管理するのが難しくなり、薬を飲んだり、インスリンを注射するには介護が必要になる場合があります。認知症を起こさないためにも糖尿病治療を継続することが大切です。

感染症

糖尿病になると体の免疫力が低下します。免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなります。感染症というのは、ウイルスや細菌の感染が原因で起こる病気です。身近な感染症では風邪などですが、糖尿病の人は風邪を引きやすく、肺炎や気管支炎へ重症化しやすくなります。

糖尿病患者におこる感染症では、風邪の他に呼吸器系の感染症や膀胱炎、腎盂腎炎、水虫・カンジダ症などの皮膚感染症、虫歯、歯周病など様々です。

予防のためには血糖コントロールをしっかり行うことと、免疫力が低下しないように睡眠時間を十分にとりストレスを発散し規則正しい生活を心がけることが大事です。