糖尿病の治療に使われる薬の種類

7種類の飲み薬で血糖をコントロール

糖尿病の合併症予防で運動療法と食事療法を3ヶ月ほど続けてみてもヘモグロビン値が7%以上あり改善が見られない場合には薬物療法が行われます。

まだインスリンの分泌が機能している場合には飲み薬(経口血糖降下薬)を使います。飲み薬には効く場所や効力が違う7種類があります。

飲み薬には、インスリン分泌を促進する働きや、インスリンの効果を高める働きや、食後高血糖を抑える働きなどがあり、症状によって薬を使い分けます。

これらの薬を糖尿病の状態をみながら、1剤あるいは2剤以上を組み合わせて使います。飲み薬意外にもGLP-1受容体作動薬というインスリンの分泌を促し膵臓の負担を軽くするのに役立つ注射薬もあります。

重症だからインスリン療法を行うわけではない

インスリンが十分に分泌されないために、高血糖の状態が続く場合には、インスリンを注射で補充するインスリン療法を行います。

インスリン療法ときくと、糖尿病が重症になってしまったイメージを抱きがちですが必ずしもそうではありません。何らかの理由があり食事療法や運動療法ができずに高血糖が続いている場合には、まだインスリン分泌が機能していても血糖値を下げるために一時的にインスリン療法を行うこともあります。

インスリン療法によって血糖値が改善し、食事療法や運動療法を行うことができるようになれば飲み薬だけでも血糖値が安定し、インスリン療法をやめることも可能です。

また、病気や怪我などで手術を受ける場合や妊娠・出産などで一時的にインスリン療法がひつようになる場合もあります。病気や怪我が治れば殆どの場合は、血糖コントロールも改善し、食事療法や運動療法に戻すことができます。

糖尿病治療の目標は、とにかく血糖値が高い状態を出来る限りなくし、糖尿病の進行を抑えながら合併症を予防することです。薬物療法はそのために大切な治療のひとつです。

糖尿病の薬一覧と効能

薬の効能 薬の種類 薬が効く場所
インスリンの効きをよくする薬 ビグアナイド薬 肝臓で新しく糖が作られるのを抑えたり腸管からのブドウ糖の吸収を抑える薬。
チアゾリジン薬 筋肉や脂肪でブドウ糖が使われやすくする薬。インスリンの働きをよくするアディポネクチンを増やす。
インスリンの分泌を促す薬 インクレチン関連薬 膵臓のβ細胞に働き、必要に応じてインスリンの分泌を促すインクレチンを膵臓に届ける薬。
スルフォニル尿素薬(SU薬) 膵臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促す薬。効き目がつづく間はインスリンを分泌させつづける。
糖を排泄して血糖を下げる薬 SGLT2阻害薬 腎臓で作られる尿の現役から糖が体内に再吸収されるのを阻害して体外に出す。
食後の高血糖を抑える薬 α-グルコシダーゼ阻害薬 腸管に働き、糖をブドウ糖に変える消化酵素α-グルコシダーゼの働きを抑えて、食事でとった糖の吸収を遅らせる薬。
グリニド薬 膵臓のβ細胞に働いて、インスリンの分泌を促す薬。飲んですぐ効き始め、早く消失する。