スルフォニル尿素薬(SU薬)とは

長時間インスリンの分泌を促す薬

スルフォニル尿素薬(通称SU薬)は40年ほど前から糖尿病の治療で使われており、薬物療法の中でも古い歴史をもつ薬のひとつです。

この薬は、腸管から吸収しインクレチン阻害薬(DPP-4阻害薬)と同様に膵臓のβ細胞を刺激することでインスリン分泌を促します。ただし、膵臓にまだインスリンを分泌する能力が残っている人に限られます。

その他の効果としては、インスリンの効きを向上させブドウ糖が効率よく使われるようにしたり、膵臓で作られるブドウ糖の量を抑制する働きもあります。投薬してから6〜24時間程度薬の効果が持続します。

SU薬とDPP-4阻害薬との一番の違いは、DPP-4阻害薬は血糖値が高い状態のときにだけインスリンの分泌を促すのに対し、スルフォニル尿素薬(SU薬)は血糖値が高くても低くても長時間膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリン分泌を促すという点です。効果は強力なのですが低血糖が起こりやすい薬でもあります。

DPP-4阻害薬を、励ましながら必要な分だけ教える優しい先生だとするとスルフォニル尿素薬はスパルタ教育の厳しい先生のようなものだとイメージしてください。

注意すべきは食べ過ぎによる体重増加

スルフォニル尿素薬の服用で注意すべきは、この薬には食欲を増進し体重を増やしてしまう傾向があるということです。そうでなくても投薬をしていると「薬を飲んでいるので安心」と食べすぎてしまうもの。くれぐれも食べ過ぎにならないように食事療法も同時に行うように心がけましょう。

また、スルフォニル尿素薬は長期間服用し続けてると、膵臓の疲弊にともない次第に薬の効果が弱くなってくる場合があります。その時は薬の量を増やしたり、他の薬剤を一緒に服用することで対応します。

スルフォニル尿素薬は40年以上も使われているインスリン分泌促進薬です。そのため、どの様な状態の患者にどのように使えばよいかという科学的根拠があるので安心して使える薬という利点があります。

スルフォニル尿素薬の主な種類

一般名 商品名 用法・用量
グリベンクラミド オイグルコン 1.25~7.5(10)mg/日
1日1〜2回(朝夕)、食前または食後
ダオニール
グリクラジド グリミクロン 40~120(160)mg/日
1日1〜2回(朝夕)、食前または食後
グリメピリド アマリール 0.5~4(6)mg/日
1日1〜2回(朝夕)食前または食後