1. HDLコレステロールとNon-HDLコレステロールの違い
動脈硬化のリスクを評価する上で、従来のLDLコレステロールだけでなく、近年ではNon-HDLコレステロールという新しい指標が非常に重要視されています。
| 項目 | 通称と役割 | 計算式 | 動脈硬化への影響 |
| HDLコレステロール (HDL-C) | 善玉コレステロール | – | 血管壁のコレステロールを回収し、動脈硬化を防ぐ働き。 |
| Non-HDLコレステロール (Non-HDL-C) | すべての悪玉の総和 | 総コレステロール – HDLコレステロール | LDL以外も含めた、動脈硬化を促進するすべてのコレステロールの総量を示す。 |
Non-HDLコレステロールの重要性
Non-HDLコレステロールが注目される理由は以下の点です。
- 真の悪玉総量: Non-HDL-Cは、LDLコレステロールだけでなく、LDLよりもさらに悪玉度が高いとされるレムナントや超悪玉リポタンパク質など、動脈硬化を促進するすべてのコレステロールを含んでいます。
- 測定の簡便性: LDLコレステロールは通常、空腹時採血が必要ですが、Non-HDL-Cは計算式が簡便で、食後採血でも値がほとんど変動しないため、日常的な管理指標として優れています。
- 高中性脂肪時の補完: 中性脂肪(TG)が400mg/dL以上と非常に高い場合、LDL-Cが正確に計算できないことがありますが、Non-HDL-Cはこうしたケースでも信頼できる動脈硬化リスク指標として活用されます。
2. LDLコレステロール検査結果の正しい見方とリスク度チェック
LDLコレステロールは、値そのものだけでなく、あなたの持つ他のリスク因子(高血圧、糖尿病、喫煙など)によって、目指すべき目標値が大きく異なります。
LDLコレステロールの診断基準とリスク分類
LDLコレステロールの診断基準は140 mg/dL以上ですが、治療の目標値は以下のように設定されます。
| あなたのリスク分類 | LDL-C 管理目標値 | Non-HDL-C 管理目標値 (LDL-C目標値 + 30mg/dL) |
| 低リスク(健康な方) | 140 mg/dL 未満 | 170 mg/dL 未満 |
| 中リスク(高血圧、喫煙、メタボなど) | 120 mg/dL 未満 | 150 mg/dL 未満 |
| 高リスク(糖尿病、CKDなど) | 100 mg/dL 未満 | 130 mg/dL 未満 |
| 二次予防(冠動脈疾患、脳梗塞の既往) | 100 mg/dL 未満(高リスク)または 70 mg/dL 未満(特に厳格な管理が必要な場合) | 130 mg/dL 未満 または 100 mg/dL 未満 |
リスク度チェックのポイント
- まずLDL-Cの目標達成: 医師と相談し、あなたにとっての目標値(140未満~70未満)を明確にし、達成を目指します。
- Non-HDL-Cを二次目標に: LDL-Cが目標を達成した後も、Non-HDL-Cが目標値を超えていないか確認することで、見逃されていた超悪玉コレステロールのリスクがないかを確認し、治療効果を総合的に評価します。
これらの指標を適切に把握し、目標値を達成することが、心筋梗塞や脳梗塞といった将来の重篤な血管事故を防ぐための「命綱」となります。自己判断せず、必ず医師と相談しながら管理を続けましょう。
