更年期に大切な水分の補給

更年期になると、老化の一つとして皮膚が潤いを失うとともに、体からみずみずしさが失われて、いわゆる「枯れた」感じがしだします。老年期になると枯れた感じがさらに強まりますが、その前段階の状態です。

私たち人間は水分を十分にとらなければ健康を保てません。とくに更年期の人たちに水分補給は大切です。成人の場合、標準体重の人で1日に500ミリリットル(牛乳瓶で2本半)の水が最低限、必要だと言われてますが、理想的には、1日に2リットルぐらい飲むのが良いでしょう。

私たちは、ただ呼吸しているだけでもかなりの水分を体の外に出しています。また、じっとしていても、つねに汗が体の表面から分泌されています。なにもポタポタ落ちるのだけが汗ではないのです。たえず分泌される汗は、皮膚からゆっくり蒸発することで体の温度調節をしています。

このように自覚しないうちに呼吸器や皮膚から水分が排泄されることを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)と呼んでいますが、失われた水分の補給をしなければなりません。とくに運動した時などは、汗をたくさんかきますので、十分な水分補給が欠かせません。

ウォーキング、ジョギング、その他のスポーツの最中にこまめに水分を補給するようにして下さい。運動する前にコップ1杯の水を飲んでおくと、運動中の体の水分補給が効率的に行なえます。

水分を補給せずにいると、血液は粘り気を増し血管を流れにくくなってきます。

私たちの血管は齢をとるにしたがいコレステロールが沈着して、内径が狭くなってきます。これが動脈硬化と呼ばれるものです。

こんな状態のところにもってきて血液そのものが流れにくくなるのですから、脳の血管が詰まる脳梗塞、心臓の筋肉に栄養を補給する血管(冠状動脈)が詰まる心筋梗塞狭心症などを起こしやすくなります。

また、夜中に小用に起きるのが面倒だということで昼間から水分の摂取をひかえていると、睡眠中に血液はだんだん粘り気を増してきます。脳梗塞や心筋梗塞などを起こしやすい時間帯は、体の水分が失われる明け方である、ということも容易に理解出来るでしょう。

血液が濃縮された危険な状態を改善するには、とにかくすぐ水を飲むことです。実際に、一過性脳虚血発作(脳梗塞の一歩手前の状態)や狭心症を起こした患者さんが、水分補給によって症状が改善された例もあります。