膵臓の病気

膵臓病とは

膵臓は、おへそとみぞおちの中間地点、胃の後ろ側の背中に近い場所にあります。

ですので膵臓に疾患がある場合は胃の奥から背中にかけて痛みが発症する場合があるので、これらの兆候がある場合は医師に相談することをおすすめします。

膵臓は消化酵素を作る工場と言われている臓器で、食べ物を消化する膵液や、血糖をコントロールするインスリンなどを分泌する働きをしています。

膵臓病とは、この膵臓の働きが衰えることで、急性膵炎慢性膵炎膵臓がんすい性糖尿病などを発症する病気をいいます。

膵臓病は、遺伝や自己免疫疾患なども原因として挙げられますが、生活習慣となっている飲酒や喫煙、慢性的な睡眠不足、食の欧米化による偏食、糖分の過剰摂取も原因と考えられています。

特にアルコールの飲み過ぎが膵臓病を最も発症しやすく、急性膵炎の約半数慢性膵炎の約80%を占めています。

膵臓癌も増加傾向にあり、臓器別のがん死亡率では、肺がん、胃がん、大腸がんに次いで、膵臓がんが第4位になりました。

これまで第4位であった肝臓がんを上回ったことを考えると、すい臓がんの増加傾向が見られます。

膵臓病になりやすい人の特徴

膵臓病になる原因のひとつは遺伝によるものですが、遺伝以外では過度な飲酒に起因するものが最も多く、急性膵炎の約半数、慢性膵炎の約8割を占めています。

膵臓に悪影響を与える項目

  • 肉料理や揚げ物中心の食事
  • お酒を飲むときに食事をとらない
  • 間食は甘いものが多い
  • 運動不足
  • 睡眠時間が不規則
  • 職場や家庭での過度なストレス

この他にも肥満の人も膵臓病になりやすく、喫煙者は、すい臓がんの罹病率が非喫煙者の2倍になるといわれています。

膵臓病の中でも、急性膵炎慢性膵炎すい性糖尿病40代の働き盛り世代に多くみられ、すい臓がんの発症リスクは高齢者になるほど高く、特に60代から多くみられるようになります。

膵臓は胃や十二指腸に囲まれており身体の深部に位置するので病気の早期発見が難しい臓器です。初期の段階では症状は殆ど現れず、自覚症状が出たときはすでに病気が進行しているケースが大半です。

治療が手遅れにならないように40代になったら定期的に検査を受けることが大切です。

膵臓のしくみ

私たちが食事で口から摂取した食べ物は食道を通過し、胃の中で3~6時間かけて消化され、十二指腸に運ばれる頃には、お粥状になっています。

この粥状の食べ物が十二指腸に到達すると、ホルモン分泌のはたらきによって、膵臓が刺激されて消化酵素である膵液が出ます。

膵臓は胃の裏側の背中に近いところに位置しており、縦に約15センチ、横に約3センチと細長い、ぶどうの房が連なっているような形状の60~90グラムのの臓器です。

胃や腸のように中身が空洞ではなく、内部には細胞が詰まっており、食べ物を消化する膵液、血糖値をコントロールするインスリンなどのホルモンが生成されます。

膵臓は、十二指腸に近い方から、膵頭部膵体部膵尾部と呼ばれています。膵頭部は、胃を通った食物をさらに消化させる十二指腸と、肝臓で作られた胆汁を蓄える胆嚢につながっています。

膵臓の中央には主膵管があり、胆管と合流して十二指腸へ膵液と胆汁を運んでいます。膵尾部は、血液の健康を維持して免疫を保つ脾臓に接しています。

膵臓の役割

膵臓には、主に2つの役割があります。

1つ目は、食物の消化を促すための膵液を作り出す外分泌と言う働きと、2つ目は、体内の細胞が血液中のブドウ糖を活用したり、蓄えたりするのを助けるインスリンを作り出し、血糖値をコントロールする内分泌と言う働きです。

膵臓の内部の90%以上は外分泌細胞が占めており、残りは島が点在するように浮かぶ内分泌機能を持つランゲルハンス島からなります。

ランゲルハンス島は膵島とも呼ばれており、小さな球場の細胞は膵臓内部に100万個以上もあり、一つ一つが臓器として働いています。

膵臓は1日に約1.5リットルの膵液を分泌し、この中には3大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質を分解する消化酵素が含まれています。

食物の消化吸収を助ける役割を終えた膵液は、体外に放出されるので外分泌機能と言われます。

膵臓から血液中に分泌される血糖値を調節するホルモンは、血糖値を常に一定に保つため運ばれるのですが、これを内分泌機能といいます。