結核性胸膜炎について
結核性胸膜炎は、結核菌によって胸膜に炎症が起こる病気です。胸膜とは、肺を覆っている薄い膜のことで、この膜に炎症が起こると、胸痛や呼吸困難などの症状が現れます。
原因
結核性胸膜炎は、結核菌が肺から胸膜に広がることで起こります。結核菌は、主に飛沫感染によって人から人へ感染します。
- 一次感染: 結核に初めて感染した場合、多くは肺に病変ができ、その一部が胸膜に波及して結核性胸膜炎を引き起こします。
- 再感染: 過去に結核に感染していた人が、再び活動性となることで発症する場合もあります。
症状
結核性胸膜炎の主な症状は以下の通りです。
- 胸痛: 呼吸をするたびに鋭い痛みを感じることが多く、横になると悪化することがあります。
- 発熱: 微熱から高熱まで、様々な程度の発熱が見られます。
- 咳: 乾いた咳が出ることもあります。
- 呼吸困難: 胸水が溜まると、呼吸が苦しくなることがあります。
- 倦怠感: 体のだるさや食欲不振など、全身倦怠感を感じることがあります。
これらの症状は、他の病気でもみられるため、結核性胸膜炎と診断するためには、医師による詳しい診察と検査が必要です。
診断
結核性胸膜炎の診断には、以下の検査が用いられます。
- 胸部X線: 肺や胸膜の異常を調べる。
- CT検査: より詳細な画像を得て、病変の場所や大きさを確認する。
- 胸水検査: 胸腔に溜まった胸水を採取し、結核菌や結核抗体を調べる。
- 結核菌検査: 喀痰や胸水から結核菌を検出する。
- ツベルクリン反応: 結核菌に対するアレルギー反応を調べる。
治療
結核性胸膜炎の治療は、抗結核薬による治療が中心となります。一般的に、複数の抗結核薬を組み合わせて長期間(数ヶ月~数年)服用します。
- 抗結核薬: イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドなどが用いられます。
- 胸水穿刺: 胸腔に溜まった胸水を針で抜く治療を行うことがあります。
予防
結核性胸膜炎の予防は、結核そのものの予防と同様です。
- BCGワクチン: 新生児期にBCGワクチンを接種することで、結核の発症を予防できます。
- 密閉された空間での長時間滞在を避ける: 結核菌は飛沫感染で広がるため、密閉された空間での長時間滞在は避けることが大切です。
- 換気: 部屋をこまめに換気し、新鮮な空気を入れ替えるようにしましょう。
- マスクの着用: 感染者がいる場合は、マスクを着用することで感染を防ぐことができます。
- 定期的な健康診断: 定期的な健康診断を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
まとめ
結核性胸膜炎は、早期に適切な治療を行えば治癒する病気です。しかし、治療を中断したり、自己判断で薬を止めたりすると、薬剤耐性菌が出現したり、病気が悪化したりする可能性があります。
もし、結核性胸膜炎が疑われる症状が出た場合は、早めに医療機関を受診し、医師の指示に従って治療を受けることが大切です。