甲状腺がん

甲状腺がんとは?

甲状腺がんは、首にある蝶の形をした内分泌腺である甲状腺に発生する悪性腫瘍です。甲状腺は、体の代謝を調節するホルモンを分泌する重要な役割を担っています。甲状腺がんは、早期発見・早期治療により、高い治癒率が期待できるがんの一つです。

甲状腺がんの原因

甲状腺がんの明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、以下の要因がリスクを高める可能性があると考えられています。

  • 放射線被曝: 小児期に放射線治療を受けたことがある人
  • 家族性甲状腺がん: 家族に甲状腺がんの患者がいる人
  • ヨウ素欠乏: ヨウ素が不足している地域に住んでいる人
  • その他の要因: 遺伝子変異、生活習慣など

甲状腺がんの症状

甲状腺がんは、初期の段階では自覚症状がないことが多いです。しかし、腫瘍が大きくなるにつれて、以下の症状が現れることがあります。

  • 首のしこり: もっとも一般的な症状です。
  • 声の変化: 声がかすれたり、嗄声になることがあります。
  • 呼吸困難: 腫瘍が気道を圧迫することで、呼吸が苦しくなることがあります。
  • 嚥下困難: 腫瘍が食道を押すことで、飲み込みにくくなることがあります。
  • 甲状腺機能の異常: 甲状腺ホルモンの分泌が過剰になったり、不足したりすることがあります。

甲状腺がんの種類

甲状腺がんは、組織の種類によって、大きく以下の種類に分けられます。

  • 乳頭がん: 甲状腺がんの約90%を占める最も一般的なタイプです。比較的成長が遅く、予後が良いことが多いです。
  • 濾胞がん: 乳頭がんに次いでよくみられるタイプです。乳頭がんと同様に、比較的予後が良いことが多いです。
  • 髄様がん: 遺伝性のものと、そうでないものがあります。カルシトニンというホルモンを分泌することが特徴です。
  • 未分化がん: 悪性度が高く、進行が早いのが特徴です。

甲状腺がんの診断

甲状腺がんの診断には、以下の検査が行われます。

  • 触診: 医師が首のしこりを触診します。
  • 超音波検査: しこりの大きさや性質を詳しく調べます。
  • 細針吸引細胞診: しこりから細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
  • 放射性ヨウ素検査: 甲状腺がんの有無や広がりを調べます。
  • CT検査、MRI検査: 腫瘍の大きさや周囲の臓器への浸潤を詳しく調べます。

甲状腺がんの治療

甲状腺がんの治療法は、がんの種類、大きさ、広がり、年齢、全身の状態などによって異なります。一般的に、以下の治療法が用いられます。

  • 手術: 甲状腺がんの標準的な治療法です。腫瘍だけでなく、リンパ節や周囲の組織も一部切除することがあります。
  • 放射性ヨウ素治療: 手術後に残ったがん細胞を破壊するために、放射性ヨウ素を投与します。
  • ホルモン補充療法: 手術によって甲状腺が一部または全て切除された場合、甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。
  • 薬物療法: 再発や転移したがんに対して、抗がん剤などの薬物療法が行われることがあります。

甲状腺がんの予防

甲状腺がんを完全に予防することは難しいですが、以下のことに注意することで、リスクを減らすことができます。

  • 放射線被曝の回避: 小児期に放射線治療を受ける必要がある場合は、放射線の線量を最小限にするように医師に相談しましょう。
  • 定期的な健康診断: 定期的に健康診断を受けることで、早期発見に繋がります。
  • バランスの取れた食事: ヨウ素を適切に摂取しましょう。
  • 禁煙: 喫煙は、様々な種類の癌のリスクを高めることが知られています。

まとめ

甲状腺がんは、早期発見・早期治療が大切です。首にしこりを感じたり、気になる症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。