成人T細胞性白血病

成人T細胞性白血病(ATL)とは?

成人T細胞性白血病(Adult T-cell Leukemia/Lymphoma、ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)というウイルスに感染することで発症する血液のがんです。HTLV-1は、主に母乳を通して感染し、感染後長い潜伏期間を経て発症します。ATLは、血液中のT細胞が異常増殖し、様々な臓器に浸潤することで、様々な症状を引き起こします。

原因

ATLの原因は、HTLV-1というレトロウイルスへの感染です。HTLV-1は、主に母乳を通して感染し、感染者の約5~10%にATLが発症すると考えられています。HTLV-1は、血液や精液にも含まれるため、性行為や輸血などでも感染する可能性はありますが、母乳感染が主な感染経路です。

症状

ATLの症状は、発症時期や病型によって大きく異なります。

  • 急性型: 発熱、体重減少、全身倦怠感、リンパ節腫脹、肝脾腫などが急速に進行します。
  • 慢性型: 慢性的な発熱、体重減少、リンパ節腫脹、皮膚病変などがみられます。
  • スマウリング型: 皮膚に紅斑や腫瘤が生じるのが特徴です。
  • 急性変形型: 慢性型から急性型へと急速に悪化するタイプです。

診断

ATLの診断には、以下の検査が行われます。

  • 血液検査: 白血球数、血小板数、赤血球数の異常、HTLV-1抗体の検出など
  • 骨髄検査: 腫瘍細胞の有無、種類などを確認
  • リンパ節生検: 腫瘍細胞の有無、種類などを確認
  • 画像検査: CT、MRIなど
  • 遺伝子検査: HTLV-1の遺伝子の有無や種類を調べる

治療

ATLの治療法は、病期や症状、患者の年齢や体力などによって異なります。

  • 化学療法: 抗がん剤を用いてがん細胞を殺す治療法です。
  • 放射線療法: 放射線を用いてがん細胞を殺す治療法です。
  • 幹細胞移植: 健康な造血幹細胞を移植することで、がん細胞を攻撃し、新しい血液細胞を作り出す治療法です。
  • 標的療法: 特定の分子を標的とする薬剤を用いてがん細胞を殺す治療法です。
  • 免疫療法: 体の免疫力を高め、がん細胞を攻撃する治療法です。

予防

ATLの予防には、HTLV-1の感染予防が最も重要です。

  • 母乳育児の回避: HTLV-1に感染している母親は、母乳ではなく人工乳で育てることが重要です。
  • 血液製剤の安全管理: 輸血を行う場合は、HTLV-1に感染していない血液製剤を使用する必要があります。
  • 性行為時の注意: コンドームの使用など、性行為時の感染予防対策を徹底することが大切です。

まとめ

ATLは、HTLV-1というウイルスが原因で発症する血液のがんです。早期発見・早期治療が重要です。ATLの予防には、HTLV-1の感染予防が最も重要であり、特に母乳育児の回避が有効です。

注意: この情報は一般的な情報であり、個々の患者さんの状況によって治療法や予後は異なります。治療に関しては、必ず医師にご相談ください。

『カイテキオリゴ』