神経内分泌腫瘍

神経内分泌腫瘍とは

神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor、NET)は、神経内分泌細胞という、ホルモンやペプチドを分泌する細胞から発生する腫瘍です。膵臓、消化管、肺などに多くみられますが、体中のあらゆる臓器に発生する可能性があります。

神経内分泌腫瘍の原因

明確な原因は解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。

  • 遺伝子変異: 特定の遺伝子の変異が、腫瘍の発生に関わっている可能性があります。多発性内分泌腫瘍症(MEN)など、神経内分泌腫瘍を伴う遺伝性の疾患も存在します。
  • 環境要因: 発がん性物質や生活習慣などが、腫瘍の発生を促す可能性が指摘されています。
  • 不明な要因: 大多数の症例では、原因不明です。

神経内分泌腫瘍の症状

神経内分泌腫瘍は、腫瘍の種類や発生部位、分泌するホルモンの種類によって、症状が大きく異なります。

  • 機能性NET: 腫瘍がホルモンを過剰に分泌することで、様々な症状が現れます。
    • カルチノイド症候群: 紅潮、下痢、喘息様発作などがみられます。
    • クッシング症候群: 月経不順、肥満、高血圧などがみられます。
    • 悪性高カルシウム血症: 骨の痛み、倦怠感、吐き気などがみられます。
  • 非機能性NET: ホルモンを分泌しないため、特徴的な症状はなく、腫瘍が大きくなってからの発見が一般的です。腹痛、腹部膨満感、体重減少などがみられることがあります。

神経内分泌腫瘍の診断

  • 画像検査: CT、MRI、PET-CTなどを行い、腫瘍の大きさ、位置、転移の有無を調べます。
  • 内分泌検査: 血液検査で、腫瘍マーカーやホルモン値を測定します。
  • 組織検査: 生検を行い、得られた組織を顕微鏡で観察します。

神経内分泌腫瘍の治療

治療法は、腫瘍の種類、大きさ、ステージ、患者さんの状態などによって異なります。

  • 手術: 腫瘍が小さい場合は、手術による切除が第一選択となります。
  • 薬物療法:
    • 標的治療薬: 腫瘍細胞の増殖を抑制する薬剤です。
    • ホルモン療法: ホルモンの分泌を抑制する薬剤です。
    • 化学療法: 複数の抗がん剤を併用して治療します。
  • 放射線療法: 腫瘍に放射線を照射して、腫瘍細胞を殺す治療法です。
  • 内分泌療法: 腫瘍の成長を抑制するホルモン剤を用いた治療法です。

神経内分泌腫瘍の予防

明確な予防法はありませんが、以下のことに注意することで、リスクを減らすことができます。

  • 健康的な生活習慣: バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙など、健康的な生活習慣を心がけましょう。
  • 定期的な健康診断: 早期発見のため、定期的な健康診断を受けましょう。
  • 遺伝性疾患のスクリーニング: 家族に神経内分泌腫瘍の患者がいる場合は、遺伝子検査を受けることを検討しましょう。

まとめ

神経内分泌腫瘍は、早期発見・早期治療が重要です。症状がなくても、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。治療法は、患者さんの状態に合わせて個別に決定されます。

もし、この記事を読んで疑問点や不安なことがあれば、医師にご相談ください。

注意点

  • この情報は一般的な情報であり、個々の患者さんに当てはまるものではありません。
  • 詳しい診断や治療については、必ず医師にご相談ください。
『カイテキオリゴ』