毛細血管奇形

毛細血管奇形は、生まれつき血管が異常に増生することで起こる「あざ」の一種です。赤ちゃんの頃から存在し、自然に消えることはなく、生涯付き合っていくことが多い疾患です。今回は、毛細血管奇形の概要、原因、症状、治療法、予防について詳しく解説します。

毛細血管奇形とは?

毛細血管奇形は、皮膚の表面に現れる平らな赤いあざで、生まれつき持っているものです。血管の異常な増殖によって起こり、通常は痛みやかゆみなどの自覚症状はありません。

原因

毛細血管奇形の正確な原因は、まだ完全には解明されていません。遺伝子の異常や胎児期の血管形成の異常などが原因と考えられていますが、多くの場合、原因不明のままです。

症状

  • 赤色または青紫色の平らなあざ: 生まれつき存在し、皮膚の表面に現れます。
  • 場所: 顔、頭、首、体幹、四肢など、体のどこにでも現れる可能性があります。
  • 大きさ: 数ミリから数十センチまで、様々です。
  • 症状の変化: 通常は、年齢とともに大きくなったり、色が濃くなったりすることはありません。しかし、一部のケースでは、外傷やホルモンバランスの変化によって、一時的に赤みが強くなることがあります。

種類

毛細血管奇形には、いくつかの種類があります。

  • 単純性血管腫: 最も一般的なタイプで、赤色または青紫色の平らなあざです。
  • 海綿状血管腫: 皮膚の下にスポンジ状の血管が形成されるタイプで、触ると柔らかい弾力性があります。
  • 複合型血管腫: 単純性血管腫と海綿状血管腫が混ざったタイプです。

診断

診断は、皮膚科医による視診と病歴聴取に基づいて行われます。必要に応じて、超音波検査やMRIなどの画像検査を行うこともあります。

治療法

毛細血管奇形の治療は、症状の程度や患者さんの希望によって異なります。

  • 経過観察: 多くの場合、自然経過を観察します。
  • レーザー治療: 赤みを軽減したり、血管を縮小させる効果があります。
  • 外科手術: 大きな病変や機能的な障害がある場合に行われます。
  • 硬化療法: 血管内に薬剤を注入して、血管を閉塞させる治療法です。

予防

毛細血管奇形は、胎児期に形成されるため、予防することはできません。

生活上の注意点

  • 日焼け: 紫外線は、血管を拡張させるため、日焼けには注意しましょう。
  • 外傷: 外傷は、出血や色素沈着を引き起こす可能性があるため、注意しましょう。
  • 心理的なケア: 外見へのコンプレックスを抱く人もいるため、必要に応じて心理的なサポートを受けることも大切です。

まとめ

毛細血管奇形は、生まれつきの血管の異常によって起こる「あざ」です。多くの場合、治療せずに経過観察を行います。しかし、症状が気になる場合は、皮膚科医に相談しましょう。

最後に

毛細血管奇形は、決して珍しい病気ではありません。治療法も進歩しており、多くの場合、日常生活に大きな支障はありません。もし、ご自身やお子さまが毛細血管奇形と診断された場合は、一人で悩まずに、医師に相談することをおすすめします。