絨毛性疾患の概要
絨毛性疾患は、妊娠時に胎盤を作る絨毛細胞(栄養膜細胞)が異常増殖する病気の総称です。胎盤の異常な増殖により、様々な種類の腫瘍が発生し、妊娠経過に影響を与えます。
絨毛性疾患の種類
絨毛性疾患には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 胞状奇胎: 妊娠初期に起こる最も一般的な絨毛性疾患です。子宮内にぶどうの房のような異常な組織が形成されます。
- 侵入奇胎: 胞状奇胎が子宮壁に深く浸潤したり、周辺の臓器に広がったりした状態です。
- 絨毛がん: 胞状奇胎、侵入奇胎、または正常妊娠後に発生する悪性腫瘍です。肺、脳、肝臓など、全身に転移する可能性があります。
絨毛性疾患の原因
絨毛性疾患の正確な原因は解明されていませんが、遺伝子の異常や環境要因が関与していると考えられています。
絨毛性疾患の症状
絨毛性疾患の症状は、種類や進行度によって異なります。
- 胞状奇胎: 妊娠初期の出血、悪心・嘔吐、子宮の大きさと週数が合わないなど。
- 侵入奇胎: 胞状奇胎の症状に加え、子宮の大きさが急速に増大したり、腹痛を伴うことがあります。
- 絨毛がん: 肺転移による咳や胸痛、脳転移による頭痛や神経症状、肝転移による腹痛など、転移先の臓器によって様々な症状が現れます。
絨毛性疾患の診断
絨毛性疾患の診断には、以下の検査が行われます。
- 超音波検査: 子宮内の異常な組織を画像で確認します。
- hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)測定: 絨毛性疾患ではhCGが異常に高値を示します。
- 病理組織検査: 掻爬(かいは)術や手術で採取した組織を顕微鏡で調べます。
絨毛性疾患の治療
絨毛性疾患の治療法は、種類や進行度によって異なります。
- 胞状奇胎: 子宮を掻爬して異常な組織を全て除去します。
- 侵入奇胎: 子宮を摘出する場合と、化学療法を行う場合があります。
- 絨毛がん: 化学療法が主な治療法です。場合によっては、手術や放射線療法を併用することもあります。
絨毛性疾患の予防
絨毛性疾患を完全に予防することは困難ですが、以下の点に注意することでリスクを減らすことができます。
- 定期的な産婦人科検診: 妊娠中は定期的に産婦人科を受診し、異常な出血や腹痛などの症状があれば、すぐに医師に相談しましょう。
- 避妊: 妊娠を望まない場合は、適切な避妊方法を選びましょう。
- 遺伝カウンセリング: 絨毛性疾患の家族歴がある場合は、遺伝カウンセリングを受けることを検討しましょう。
絨毛性疾患の予後
絨毛性疾患は早期に発見して適切な治療を受ければ、多くの場合に治癒が可能です。しかし、放置すると転移し、生命を脅かすこともあります。
絨毛性疾患は、早期発見・早期治療が大切です。妊娠中に異常な症状を感じたら、必ず医師に相談しましょう。
【注意点】
- この情報は一般的な情報であり、個人の症状や状態によって治療法は異なります。
- 絨毛性疾患に関する詳しい情報については、医師にご相談ください。