妊娠高血圧症候群とは
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧を発症し、場合によっては蛋白尿や全身の臓器に障害をきたす可能性のある病気です。かつては「妊娠中毒症」と呼ばれていましたが、現在は「妊娠高血圧症候群」という名称が一般的です。
原因
妊娠高血圧症候群の詳しい原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、胎盤の異常が関与していると考えられています。具体的には、胎盤の血管がうまく発育せず、母体から胎児への栄養や酸素の供給が十分に行えない状態になることが、高血圧や他の症状を引き起こす一因と考えられています。
症状
- 高血圧: 血圧が140/90mmHgを超える
- 蛋白尿: 尿の中にタンパク質が漏出する
- 頭痛: 偏頭痛や後頭部痛など
- 視力障害: 目のかすみ、光視症など
- 上腹部痛: 右上腹部の痛み
- 吐き気、嘔吐: 妊娠悪阻とは異なる種類の嘔吐
- 浮腫: 手足や顔がむくむ
- 体重増加: 短期間で体重が急激に増加する
これらの症状は、すべての人に現れるわけではなく、個人差が大きい点が特徴です。また、症状が軽度な場合もあれば、重症化して命に関わる場合もあります。
治療法
妊娠高血圧症候群の治療法は、症状の程度や合併症の有無によって異なります。一般的には、以下の治療が行われます。
- 血圧降下剤: 血圧を下げる薬
- 利尿剤: 体内の余分な水分を排出する薬
- マグネシウム: けいれん予防
- 安静: できるだけ安静にする
- 食事療法: 塩分制限など
- 分娩: 早産になる可能性も考慮し、医師と相談しながら分娩時期を決める
重症の場合は、入院して集中治療が必要になることもあります。
予防
妊娠高血圧症候群を完全に予防することは難しいですが、以下のことに注意することで、リスクを低減することができます。
- 妊娠前の健康管理: 高血圧、糖尿病、腎臓病などの基礎疾患がある場合は、妊娠前にしっかりと治療を受けることが大切です。
- バランスの取れた食事: 塩分を控え、カリウムを多く含む食品を積極的に摂りましょう。
- 適度な運動: 医師に相談しながら、適度な運動を行いましょう。
- 定期的な産科検診: 定期的に産科検診を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
妊娠高血圧症候群の合併症
妊娠高血圧症候群は、放置すると母体と胎児の双方に様々な合併症を引き起こす可能性があります。
- 母体: けいれん発作(子癇)、脳出血、腎不全、心不全など
- 胎児: 成長遅延、早産、胎児死亡など
まとめ
妊娠高血圧症候群は、妊婦さんにとって怖い病気ですが、早期発見・早期治療が大切です。少しでも気になる症状があれば、すぐに医師に相談しましょう。