概要
慢性中耳炎とは、中耳(鼓膜の内側にある空洞)に炎症が長期間続く病気です。急性中耳炎が繰り返されたり、適切な治療を受けられなかったりすることで、慢性化することが多いです。鼓膜に穴が開き、そこから膿が出たり、聴力が低下したりするなどの症状が現れます。
原因
- 急性中耳炎の悪化: 急性中耳炎が適切に治療されずに慢性化する場合があります。
- 鼻や副鼻腔の慢性的な炎症: 鼻や副鼻腔の炎症が中耳に広がり、慢性中耳炎を引き起こすことがあります。
- 免疫力の低下: 糖尿病や免疫抑制剤の服用など、免疫力が低下している状態では、感染に対する抵抗力が弱まり、慢性中耳炎になりやすくなります。
- 鼓膜の穿孔: 外傷や病気によって鼓膜に穴が開き、細菌が侵入することで慢性中耳炎になることがあります。
症状
- 耳漏: 鼓膜に穴が開いているため、耳から膿や液体が出ます。
- 難聴: 聴力低下が起こります。
- 耳鳴り: 耳の中に音が鳴る感じがします。
- めまい: 回転性のめまいを感じることもあります。
- 耳痛: 慢性的な痛みを感じる場合もあります。
治療法
慢性中耳炎の治療法は、病状によって異なります。
- 薬物療法: 抗生物質やステロイド剤などを用いて、炎症を抑え、感染を治療します。
- 手術療法: 薬物療法で改善が見られない場合や、合併症がある場合は、手術が必要になることがあります。手術の種類としては、鼓膜穿孔閉鎖術、耳室形成術などがあります。
- 生活習慣の改善: 喫煙は中耳炎を悪化させることがあるため、禁煙することが大切です。
予防
- 急性中耳炎の早期治療: 急性中耳炎は、早期に適切な治療を受けることで、慢性化を防ぐことができます。
- 鼻の病気の治療: 鼻や副鼻腔の慢性的な炎症は、中耳炎の原因となるため、しっかりと治療することが大切です。
- 免疫力の維持: 健康な生活習慣を送り、免疫力を維持しましょう。
- 耳の清潔: 耳を清潔に保ち、異物を入れないように注意しましょう。
Q&A
Q. 慢性中耳炎は治りますか?
A. 慢性中耳炎は、薬物療法や手術など適切な治療を行うことで、多くの場合、症状が改善し、日常生活に支障が出ないレベルまで回復します。しかし、完全に治らない場合や、再発する場合もあります。
Q. 慢性中耳炎はどのように診断されますか?
A. 耳鼻咽喉科で、医師が耳を診察し、聴力検査やCT検査などを行います。これらの検査結果から、慢性中耳炎と診断されます。
Q. 慢性中耳炎は放置しておくとどうなるのですか?
A. 慢性中耳炎を放置しておくと、以下のような合併症が起こる可能性があります。
- 難聴の進行: 聴力がさらに低下し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
- めまいの悪化: めまいが頻繁に起こり、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 顔面神経麻痺: 顔面神経が麻痺し、顔がゆがむことがあります。
- 脳膜炎: 非常にまれですが、中耳炎が脳にまで広がり、重篤な状態になることがあります。
Q. 慢性中耳炎は、水泳をしても大丈夫ですか?
A. 鼓膜に穴が開いている場合は、水が入ると感染症を起こす可能性があるため、水泳は避けるべきです。医師に相談し、適切な処置を受けてから水泳をするようにしましょう。
まとめ
慢性中耳炎は、適切な治療を受ければ、多くの場合、良好な予後が期待できます。しかし、放置しておくと、聴力低下やめまいなど、様々な合併症を引き起こす可能性があるため、症状を感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。